2020 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of neutrophil extracellualr traps (NET) and monocyte adhesion in atherosclerotic lesion formation.
Project/Area Number |
20K08442
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大坂 瑞子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (00581711)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好中球細胞外トラップ / 好中球 / 単球 / LDL受容体欠損マウス / 補体C5a |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症モデル動物であるLDL受容体欠損(LDLR-/-)マウスに高脂肪食摂取を行い、末梢血より好中球を採取して好中球細胞外トラップ(NET)形成を免疫染色によって検討した。このマウスではNETの一つの形態であるヒストンシトルリン化が観察されたが、細胞外へのクロマチン構造の放出は見られなかった。また、これらのマウスでは普通食群と比較して血中での補体C5aが上昇していた。この結果から、C5aは好中球細胞外トラップ(NET)に関与することが推察された。そこで、ヒト前骨髄球性白血病細胞由来細胞株(HL-60)にDMSOを添加して好中球様に分化し(dHL-60)、C5aを刺激してC5aによるNETを検討した。C5aはdHL-60に対しNETを誘導することが免疫染色により観察され、C5aはNETを誘導する因子であることが分かった。しかし、NETに特徴的な細胞外に放出されたクロマチン構造は観察されなかった。C5aによる炎症刺激を行った好中球用分化HL-60をボイデンチャンバーの下層に、単球性白血病細胞株(THP-1)を上層に加えてNET好中球による単球の走化性を検討したところ、C5aによる炎症刺激を行ったdHL-60は単球遊走を亢進することが分かった。さらに、NET好中球を作用させたTHP-1ではアクチン重合が亢進することがファロイジン染色によって観察され、NET好中球は単球に対して細胞骨格のリアレンジメントを誘導することがわかった。これらの結果からNET好中球は単球に対してインテグリンの活性化を引き起こして血管内皮細胞に対する接着を誘導する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動脈硬化症モデル動物であるLDL受容体欠損(LDLR-/-)マウスに高脂肪食摂取を行い、末梢血より好中球を採取して好中球細胞外トラップ(NET)形成を免疫染色によって検討した。このマウスではNETの一つの形態であるヒストンシトルリン化が観察されたが、細胞外へのクロマチン構造の放出は見られなかった。さらに、細胞外DNAを染色する蛍光色素(Sytox)を投与してin vivo imagingを使って血管壁に接着している好中球を観察したところ、細胞外DNAは観察されなかった。従ってLDLR-/-マウスではNET形成は起こらないことが示唆された。シトルリン化ヒストンは抗シトルリン化ヒストン抗体によって検出されるが、生体内で核内タンパクを抗体で認識させるのは現状では難しいため、in vivo imagingによるシトルリン化好中球の観察は困難を極めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Crispr-Cas9システムによりCCR2遺伝子に蛍光タンパク質(tdTomato)遺伝子を導入し、炎症性単球が特異的に赤色の蛍光を発するマウスを作製するか、あるいは購入する。このマウスに高脂肪食を負荷し、LDLR-/-LysM-eGFPマウスの骨髄から採取しCXCL1刺激によりヒストンシトルリン化好中球を尾静脈より投与することで好中球のヒストンシトルリン化が単球接着に与える影響を生体内蛍光顕微鏡で観察する。また、シトルリン化が誘導されないLDLR-/-PAD4-/-マウスにLDLR-/-マウスから採取した単球を静脈投与してその単球接着を観察することによりヒストンシトルリン化好中球による単球接着への影響を検討する。 さらに、ヒストンシトルリン化好中球による動脈硬化巣形成への影響について大動脈での動脈硬化巣形成を観察する。
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Causes of Carryover |
購入したい消耗品の納品価格と残高が合致しなかったため翌年度に繰り越しとなった。翌年度文と併せて消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(7 results)