2023 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症進展における抗心筋自己抗体の関与とその発生メカニズム
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20K08482
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
長友 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 准教授 (70348647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香坂 俊 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30528659)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / 自己抗体 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在防衛医科大学校病院に入院する心不全急性増悪患者を対象として患者登録を進めている。当初の計画通りおおよそ100例/年ペースで患者登録を行い、臨床データの登録、ほぼ全例の血液検体を採取を完了している。また退院後1年ないし2年以上経過している症例について退院後イベント(心血管死、非心血管死、心不全再入院、脳卒中など)のデータ収集を完了している。 腸内細菌叢解析のための便検体については患者対象に一定の除外基準があり、2024年4月現在合計178検体を採取、そのうち91検体について16S RNA解析を行った。順次データの解析を行う予定である。血中抗心筋自己抗体(β1アドレナリン受容体自己抗体、M2ムスカリン受容体抗体)の測定を順次行っている。これまでの実績通りであるが、β1アドレナリン受容体自己抗体についてはIgGで126/353(36%)、IgG3サブクラスについては55/353(16%程度)の陽性率であった。また、心不全の原疾患に関わらず、また収縮障害、拡張障害例いずれにおいても自己抗体が検出されることが確認された。さらにβ1アドレナリン受容体自己抗体のIgG3サブクラス陽性者では院内死亡率が有意に高率であった。退院後長期のフォローアップでは全死亡がIgG3陽性、non-IgG3陽性、陰性の順に高率であった(P=0.026)。さらに退院時β遮断薬内服患者ではこのような差は見られず、同抗体に対するβ遮断薬の効果が示唆される結果であった。 自己抗体陽性の血清からIgGを抽出する作業を開始している。またレンチウイルスを用いてヒト心筋培養細胞(H9c2細胞)へのβ1アドレナリン受容体、M2ムスカリン受容体遺伝子導入を行い、同蛋白が安定して発現していることが確認できた。心筋細胞のCaハンドリング(Ca電流)測定の実験系も確立し、抗体を添加したfunctional assayを行っている。
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