2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of renal tubule-derived semaphorin 3C in the development of cardiorenal syndrome
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20K08486
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 昌文 山形大学, 医学部, 教授 (60360096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大瀧 陽一郎 山形大学, 医学部, 助教 (80732693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心腎症候群 / セマフォリン3C / 病的心肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在国内の心不全患者は100万人を越えて、増加中である。心不全は我が国の死因の第二位と予後不良であり、新規の心不全治療法の開発が待たれている。心機能の低下と腎機能の低下は相互に関連しており、この現象を「心腎連関症候群」と呼ぶ。同症候群の患者の予後は特に不良で、その原因は、機序や適切な治療が明らかでないことにある。私達はその機序を解明するために、モデルマウスで遺伝子をスクリーニングし、腎臓からの分泌タンパク質 セマフォリン3Cに注目した。このたんぱく質は、神経堤・心臓・腎臓の発生に重要な役割を担うが、心腎連関症候群における役割に関する報告はない。本研究の目的は心腎連関症候群におけるセマフォリン3Cの役割と機能を明らかにすることである。 本研究は、1.セマフォリン3Cのは発現解析 2.遺伝子改変マウスを用いたセマフォリン3Cの役割検討 3.心筋細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明 4.腎尿細管上皮細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明 5.心腎症候群患者におけるセマフォリン3C濃度と予後との関連 の5項目を検証する。 上記の項目のうち、1.セマフォリン3Cの発現解析では、セマフォリン3CのmRNAと蛋白質レベルで、大動脈縮窄手術を行うと有意に低下することを確認した。また、免疫染色で、セマフォリン3Cが尿細管上皮細胞に高発現していることを確認した。2.遺伝子改変マウスを用いたセマフォリン3Cの役割検討では、尿細管上皮特異的セマフォリン3Cノックアウトマウスを確立し、大動脈縮窄手術を施行し、心機能や予後に与える影響を検討している。3.心筋細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明に関しては、心筋細胞に対して、セマフォリン3Cを加えたうえで心肥大刺激を施行すると、心筋細胞肥大が抑制されることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1.セマフォリン3Cのは発現解析 2.遺伝子改変マウスを用いたセマフォリン3Cの役割検討 3.心筋細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明 4.腎尿細管上皮細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明 5.心腎症候群患者におけるセマフォリン3C濃度と予後との関連 の5項目を検証する。 1.セマフォリン3Cの発現解析では、腎組織においてセマフォリン3CはmRNAと蛋白質レベルで、大動脈縮窄手術を行うと有意に低下することを確認した。また、免疫染色で、セマフォリン3Cが腎尿細管上皮細胞に高発現していることを確認した。2.遺伝子改変マウスを用いたセマフォリン3Cの役割検討では、尿細管上皮特異的セマフォリン3Cノックアウトマウスを確立した。大動脈縮窄手術を施行し、心機能や予後に与える影響を検討している。3.心筋細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明に関しては、心筋細胞に対して、セマフォリン3Cを加えたうえで心肥大刺激を施行すると、心筋細胞肥大が抑制されることを発見した。AngiotensinII刺激に対しては、ERKやAKTのリン酸化を抑制した。Wnt3a刺激に対しては、Dvl、GSK3β、βカテニンを抑制した。これらの結果を踏まえて、セマフォリン3Cは複数の機序で心肥大を抑制する可能性が示唆された。4.腎尿細管上皮細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明に関しては、HEK293細胞とHK2細胞に対して、過酸化水素刺激やTNFα刺激を行ったところ、セマフォリン3Cの発現がmRNAと蛋白質レベルで抑制される知見を得た。慢性腎臓病の発症には、尿細管上皮細胞に由来する腎間質線維化が関与しており、追加でTGFβ刺激などを行う予定である。5.心腎症候群患者におけるセマフォリン3C濃度と予後との関連に関しては、セマフォリン3C濃度は心不全や腎不全が重症化すると低下する知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
先述した本研究の検討事項5項目のうち、1.セマフォリン3Cのは発現解析および5.心腎症候群患者におけるセマフォリン3C濃度と予後との関連の2項目に関しては予定した解析事項は達成した。残りの項目を重点的にすすめていく。 2.遺伝子改変マウスを用いたセマフォリン3Cの役割検討に関しては、腎尿細管特異的セマフォリン3Cノックアウトマウスの解析を行う。大動脈縮窄手術やアデニン誘導腎障害で心腎症候群を誘導する。具体的には① ELISA法でマウス血漿セマフォリン3C濃度を測定する。 ② 心腎症候群において血漿セマフォリン濃度が変化するか検討する。 ③ 心臓超音波検査や心臓カテーテル検査で詳細な心機能(収縮能および拡張能)を解析する。 ④ その後、屠殺し、心臓を摘出し、心筋重量/体重比により心筋リモデリングを評価する。 ⑤ 心筋肥大や線維化を組織学的に検討する。 ⑥ 大動脈縮窄術後56日目での生存率を尿細管特異的セマフォリン3Cノックアウトマウスと野生型マウスで比較検討する。⑦ 腎不全の評価として、腎組織における線維化、糸球体や尿細管障害を組織学的に評価する。 3.心筋細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明に関しては、セマフォリン3Cの受容体の同定を行う。セマフォリンは標的細胞の表面に発現するプレキシン等に作用するとされる。心筋細胞と心筋線維芽細胞における、プレキシンの発現を検討し、セマフォリン3Cの細胞形態、遺伝子発現の変化、下流のシグナルへの影響を検討する。 4.腎尿細管上皮細胞におけるセマフォリン3Cの機能解明に関しては、セマフォリン3Cをノックダウンまたは過剰発現させ、TGFβで刺激を行う。腎由来のセマフォリン 3Cが心筋細胞に与える影響を検討するために、HK2と新生仔ラット心筋細胞の共培養を行う。
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Causes of Carryover |
残金は、少額なので、次年度の消耗品購入に使用する予定です。
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