2020 Fiscal Year Research-status Report
心房細動の周波数解析とローターの停留機序の解明による新たな標的の開発の臨床応用
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20K08495
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
熊谷 浩司 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (30400328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 持続性心房細動 / 高周波数部位 / 渦巻き型旋回興奮波 / 心房内低電位領域 / 肺静脈隔離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次の研究により持続性心房細動において高周波数部位での心房細動の駆動源である渦巻き型旋回興奮波(ローター)の機序をオンラ イン・リアルタイム不整脈映像化システムに着目し解明する。さらに、心房内低電位領域における傷害心筋・繊維化とローターの停留機序を解明し、持続性心房細動の新たな治療法の開発へ臨床的応用を目ざす。 (1)高周波数部位でのローターの出現頻度とその機序 (2)心房内低電位領域の正確な評価(3)遅延ガドリニウム造影MRIによる心房の傷害心筋・繊維化の解析 (4)心房の傷害心筋・繊維化におけるローターの停留機序の解明 持続性心房細動における肺静脈隔離後の左心房内低電位領域の割合は、約93%の患者で、10%以下であり、左房拡大にもかかわらず軽度であった。低電位領域に存在する高周波数部位の数は、再発群で多かったが、渦巻き型旋回興奮波の出現頻度に有意差を認めなかった。高周波数部位でのローターの出現頻度は、9.2%と少なかった。低電位領域は、左房マッピング部位の約23%認め、中隔、前壁、後壁に多く認めた。遅延ガドリニウム造影MRIによる心房の傷害心筋・繊維化の解析については、現在、解析中である。心房の傷害心筋・繊維化において、高周波数部位が心房細動の駆動源を表すと思われる。渦巻き型旋回興奮波の出現頻度については、持続性心房細動において肺静脈隔離後も多く認めるが、再発・非再発群で有意差を認めなかった。マッピング領域が広いため、精度が低くなった可能性がある。 持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、低電位領域に存在する高周波数部位が、至適焼灼部位の候補であり、周波数解析を用いた心房細動基質の同定が予後の改善効果を向上できるかどうか、周波数解析を行い、高周波数部位焼灼群と高周波数部位非焼灼群を無作為に2群に割り付けし、有効性と安全性を多施設共同研究にて検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、持続性心房細動において高周波数部位での心房細動の駆動源である渦巻き型旋回興奮波(ローター)の機序をオンラ イン・リアルタイム不整脈映像化システムに着目し解明する。さらに、心房内低電位領域における傷害心筋・繊維化とローターの停留機序を解明し、持続性心房細動の新たな治療法の開発へ臨床的応用を目ざす。 現在までの進捗状況としては、高周波数部位でのローターの出現頻度とその機序、心房内低電位領域の正確な評価、心房の傷害心筋・繊維化におけるローターの停留機序の解明に関しては、現在データを解析し、論文作成中である。また、遅延ガドリニウム造影MRIによる心房の傷害心筋・繊維化の解析については、現在、解析中である。 2年目以降の計画について、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、初年度に測定されたデータをもとに至適焼灼部位を設定し、周波数解析を用いた心房細動基質の同定が予後の改善効果を向上できるかどうか、周波数解析を行い、高周波数部位焼灼群と高周波数部位非焼灼群を無作為に2群に割り付けし1年間フォローアップし、有効性と安全性を比較検討する多施設共同研究を、倫理委員会の承認を得たので開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
高周波数部位でのローターの出現頻度とその機序、心房内低電位領域の正確な評価、心房の傷害心筋・繊維化におけるローターの停留機序の解明に関しては、データを解析し、論文作成する。遅延ガドリニウム造影MRIによる心房の傷害心筋・繊維化の解析については、現在、解析中であり、結果をまとめ論文にする。 2年目以降の計画について、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、初年度に測定されたデータをもとに至適焼灼部位を設定し、周波数解析を用いた心房細動基質の同定が予後の改善効果を向上できるかどうか、周波数解析を行う高周波数部位焼灼群と高周波数部位非焼灼群を無作為に2群に割り付けし1年間フォローアップし、有効性と安全性を比較検討する多施設共同研究を、倫理委員会の承認を得たので開始する。課題名は、Prospective trial of Radiofrequency Catheter Ablation of High Dominant Frequencies after Pulmonary Vein Isolation in Non-paroxysmal Atrial Fibrillation: PAD-AF Trial(持続性心房細動における肺静脈隔離後の周波数解析アブレーションの有効性の評価)である。 本試験における多施設共同研究システムを当院臨床研究支援センターと構築する。具体的には、症例登録センターを立ち上げ、web登録システムを構築し、症例登録や無作為2群割り付けをクラウド上で行う。本試験が適正に行われることを確保するため、モニタリングを実施する。ステム構築の不具合による修正やメンテナスを随時行う。フォローアップ終了後、解析し論文を作成する。
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Causes of Carryover |
2年目以降の計画について、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、初年度に測定されたデータをもとに至適焼灼部位を設定し、周波数解析を用いた心房細動基質の同定が予後の改善効果を向上できるかどうか、周波数解析を行う高周波数部位焼灼群と高周波数部位非焼灼群を無作為に2群に割り付けし1年間フォローアップし、有効性と安全性を比較検討する多施設共同研究を、倫理委員会の承認を得たので開始予定であったが、コロナ禍により準備、実施が遅れている。 本試験実施のため、多施設共同研究システムを本学臨床研究支援センターと構築する。具体的には、症例登録センターを立ち上げ、web登録システムを構築し、症例登録や無作為2群割り付けと症例報告書への入力をクラウド上で行う。本試験が適正に行われることを確保するため、モニタリングを実施する。しかし、システム構築の不具合による修正やメンテナスに時間を要し、また、症例数も当初コロナ禍のためなかなか増加しなかった。今後、準備が整い、症例登録数の増加が見込まれる。
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Research Products
(2 results)