2023 Fiscal Year Research-status Report
高安動脈炎に関連する肺高血圧症に対するIL-6阻害薬の有効性と治療指標の探索
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20K08507
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
上田 仁 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (00794249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大郷 剛 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (80617077)
中岡 良和 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (90393214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 大型血管炎 / 高安動脈炎 / 腸内細菌 / サイトカイン / IL-6阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
大型血管炎(高安動脈炎と巨細胞性動脈炎)は大動脈とその主要分枝血管に原因不明の機序で狭窄、閉塞及び拡張などを来す疾患であり、肺動脈性肺高血圧症(PAH)は肺動脈の細小動脈、小動脈領域に原因不明の機序で狭窄・閉塞を生じることで肺血管床が失われる疾患である。 近年、病変が肺動脈を主体とする肺動脈炎が存在し、肺動脈の狭窄やPAHに類似した肺血管のリモデリングにより肺高血圧症(PH)を引き起こし予後不良であることが報告されているが、その発症メカニ ズムは不明である。 大型血管炎とPAHにおいて炎症性サイトカインのIL-6とヘルパーT細胞の1サブセットであるh17細胞が病態形成に深く関わる可能性が報告されている。Th17細胞は消化管の粘膜固有層に恒常的に存在し、腸管免疫と関連すると考えられる。「腸内細菌叢と宿主の腸管相互作用は、炎症性血管病におけるTh17細胞の動態と炎症病態に影響するのではないか」という仮説に基づき、肺動脈炎に伴う肺高血圧症を対象としてIL-6受容体抗体製剤治療の前後で、炎症性サイトカインや腸内細菌叢の変化を確認して、病態メカニズムを解明することを目的としている。 2020年度に過去5年間の高安動脈炎による肺動脈炎に伴う肺高血圧症患者(23例)の臨床dataを後ろ向きに解析を行った。その結果は、2021年3月の第85 回日本循環器学会学術集会で発表し、現在論文作成中である。 現在、前向きに症例登録を行っている。登録症例に関しては、サイトカインや腸内細菌の解析も同時並行で行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象となる疾患は希少疾患(難病)であり、患者数が少ないことが前提にあるが、COVID19感染症の影響により、新規患者数の紹介が減少していることから、新規登録の進捗が遅れいてる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは患者数を増やすことが重要である。特に新規患者数を増やして、治療前後での炎症性サイトカインや腸内細菌叢の変化を解明して、病態のメカニズムを解明していく方針である。
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Causes of Carryover |
新規登録数が少なかったこと、学会へ参加できなかったことなどが影響して使用できなかった。今年度は、新規患者への検査費、学会参加費や論文校正などに使用する予定である。
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