2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患病態における細胞内DNA認識機構の関与の解明
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20K08510
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小荒井 晃 東北大学, 大学病院, 講師 (80458059)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 酸化ストレス / 自然免疫応答 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫応答の異常が慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびその増悪病態形成に重要な役割を果たす可能性が示唆されるが、細胞内のDNA認識および制御機構の関与については未だによく分かっていない。本研究では、ヒト気道上皮培養細胞(Beas 2B)を用いて新規の細胞内DNA認識機構でIL-6およびIFN産生に関与するcGAS-STING経路に対する酸化ストレスの影響を検討した。 まず、western blotにてヒト気道上皮細胞におけるcGAS、STINGの発現を確認した。次に、合成のdsDNA刺激によりIL-6およびIFN-βの産生が増加し、その経路にSTING経路が関与することをSTING阻害剤による検討にて示した。さらに、hydrogen peroxide (H2O2)による酸化ストレスおよびタバコ煙抽出液処置により合成dsDNA刺激によるIFN-β産生が低下することを示した。以上より、ヒト気道上皮において酸化ストレスはdsDNA刺激によるSTING経路を介したIFN-β産生を抑制すること示し、閉塞性肺疾患増悪病態では酸化ストレスによるdsDNA認識機構の反応低下が関与する可能性が示唆された。 現在、単球、マクロファージなどの炎症細胞や線維芽細胞でも同様の検討を計画しており、siRNAによる遺伝子発現抑制によるSTING経路の関与の確認や酸化ストレスによるIFN-β産生の抑制機序に関する検討も実施予定である。また、ヒト由来初代培養細胞での評価や疾患患者由来の細胞における検討を進めて行く予定である。さらに、手術肺や喀痰などの臨床検体で、免疫染色により閉塞性肺疾患におけるcGAS-STING関連蛋白の発現について健常群との比較検討を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気道上皮細胞を用いた検討ではおおむね予定通りの進行状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
気道上皮において酸化ストレスにより合成dsDNA刺激によるIFN-β産生が低下する可能性があることが分かったが、その機序に関してはまだ、不明確である。その経路を解明するため、各種タンパクの発現を検討し、siRNAでの抑制実験を行う予定である。また、ヒト手術肺から分離を行ったヒト気道上皮細胞での上記結果の確認を進め、COPD病態に加え、気管支喘息病態においても検討を進める。順調であればさらに、手術肺や喀痰などの臨床検体での免疫染色により閉塞性肺疾患におけるcGAS-STING関連蛋白の発現について健常群との比較検討を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
理由:次年度使用額が生じた理由としては、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
使用計画:令和2年度の未使用額は令和3年度請求額と合わせ、令和3年度の研究遂行に使用する予定である。実際には合成のdsDNAなどのリガンド、阻害薬およびELISAキット、培養細胞、培養液、抗体、RNA関連試薬等の費用に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)