2021 Fiscal Year Research-status Report
過敏性肺炎の肺線維化病態解明:抗原提示細胞とγδT細胞
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20K08515
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宮崎 泰成 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30396999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 過敏性肺炎 / γδT細胞 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原提示細胞・免疫細胞の連鎖によるアレルギー反応により本症は発症する本研究では、アレルギー反応の連鎖過程において未解明である樹状細胞とγδT細胞の役割を急性および慢性マウスモデル及び異なる抗原を用いて急性・炎症から慢性・線維化にシフトする仕組みを明らかにする。これらの研究によって過敏性肺炎における肺線維症合併の病態が明らかになり治療の一助になると考える。 ①抗原の種類による抗原提示細胞の役割:本研究では急性過敏性肺炎の代表抗原であるトリコスポロン(真菌)と慢性過敏性肺炎の代表抗原である鳥抗原によって抗原提示細胞(樹状細胞)の使われ方が異なっていると仮説を立て研究を進めている。2021年度は既存の鳥関連過敏性肺炎の急性モデルに加えて農夫肺モデルが完成した。夏型過敏性肺炎モデルを作成中である。ACSにてリンパ節や肺に集簇する単核球系貪食細胞(樹状細胞: CD11b陽性、CD103陽性)と応答するリンパ球(TH1/TH2細胞に加えて、γδT・regulatory T・CD8陽性T)のフェノタイプを評価した。樹状細胞の解析ではconventionalDC2が優位に増加しており、Th17への免疫連鎖に関連していることが示唆された ②急性・慢性期におけるγδT細胞の役割:γδT細胞は急性から慢性に移る段階で重要な役割があると仮説を立て、鳥抗原(ハト糞抽出物)を用いた急性過敏性肺炎モデルと慢性過敏性肺炎モデルを用いて検討してる。2020年度は急性期モデルにおいて、IL17KOマウスで解析し、そのIL-17Aはmemory γδ T cellから産生されること, ケモカインを介して肉芽腫形成に関与することが分かった。2021年度においてはこれらmemory γδ T cellの単離に成功した。2022年度はこの細胞集団の解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、①抗原の種類による抗原提示細胞の役割と②急性・慢性期におけるγδT細胞の役割についての研究を行った。①については、鳥関連過敏性肺炎と農夫肺の急性期モデルが完成しその免疫学的な解析が進んでいる。夏型過敏性肺炎モデルについても抗原作成が終了しプロトコールの確定のため条件設定を検討している、②についてはγδT細胞のmemory機能が明らかになりこれらの細胞の単離に成功した、2022年度以降の慢性期モデルとの比較も目処がたっているいることより、上記のような進捗状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り2022年度は下記のような予定で行う。 ①抗原の種類による抗原提示細胞の役割:3種類の抗原によるモデルの解析を急性期、慢性期というフェーズの違いにより解析する。抗原提示細胞(樹状細胞)の使われ方は、3つのモデルを比較して行う。肺組織・リンパ組織・肺胞洗浄液を解析する。近年開発されたOpal法(PerkinElmer)による多重免疫染色を用いて、同一切片かつ同一細胞上の複数の抗原を同時に可視化し、リンパ節や肺に集簇する単核球系貪食細胞(樹状細胞: CD11b陽性、CD103陽性)と応答するリンパ球(TH1/TH2細胞に加えて、γδT・regulatory T・CD8陽性T)のフェノタイプを評価する。FACSによる樹状細胞の種類の解析、ELISAやRT-PCRによるサイトカイン・ケモカインの解析も同時に行う。 ②急性・慢性期におけるγδT細胞の役割:鳥抗原を用いた急性モデルと慢性モデルで同様にγδT細胞を解析する。 ③肺線維症関連の樹状細胞・γδT細胞群の同定:一細胞RNAシークエンス解析を急性・慢性の鳥関連過敏性肺炎・農夫肺・夏型過敏性肺炎モデルにて行い、線維症に関わる細胞集団を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が26,588円となっております。免疫染色用の抗体を購入する予定であったが、金額が不足していたため2022年度に繰り越して予定通り試薬を購入する予定です。
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Research Products
(16 results)