2021 Fiscal Year Research-status Report
ALK肺がんのアポトーシス抵抗性因子を標的とした新規治療の開発
Project/Area Number |
20K08516
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹内 伸司 金沢大学, 附属病院, 講師 (90565384)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ALK肺がん / アポトーシス / STAT3 |
Outline of Annual Research Achievements |
ALK融合遺伝子陽性肺がん(ALK肺がん)に対して、ALKチロシンキナーゼ阻害薬(ALK-TKI)が奏効することが明らかとなり、本邦においては、第2世代ALK-TKIであるアレクチニブが標準治療となったことにより予後は著明に改善された。しかしながら、顕著な腫瘍縮小効果がみられた場合でも、ほとんどの症例で耐性化することから、アポトーシス抵抗性因子により一部のがん細胞が生存し、長期の薬剤曝露により二次的変異等の耐性機構を獲得すると考えられる。本研究では、次世代型ALK-TKIに対するアポトーシス抵抗性因子に着目し、阻害薬併用によるALK肺がんの治癒を目指した新規治療の開発を目的として、これまでに以下の成果をあげ、責任著者として論文発表した(NPJ Precis Oncol. 2022 Feb 28;6(1):11.)。 1) 747遺伝子を標的としたCRISPR-Cas9ライブラリーで網羅的に解析した結果、アレクチニブ投与時のALK肺がん細胞の生存が、STAT3に依存的であることを明らかにした。 2) ALK肺がん細胞株H3122、H2228、A925LにおいてアレクチニブとsiRNA及びshRNAを用いたSTAT3発現抑制や新規STAT3阻害薬であるYHO-1701の併用により、アポトーシスが有意に強く誘導された。 3) STAT3阻害薬併用によるALK肺がん細胞のアポトーシス誘導がBCL-Xlを介した効果であることをマイクロアレイ解析、BCL-Xlの発現抑制及び過剰発現実験で明らかにした。 4) A925L細胞のマウス皮下移植モデルにおいて、アレクチニブとSTAT3阻害薬の併用治療はアレクチニブ単剤治療と比較して治療中止後の腫瘍の再増大を有意に抑制した。また、併用治療によりマウス体重減少など明らかな毒性を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた解析は、ほぼ当初予定通り進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
アレクチニブ投与時のSTAT3によるアポトーシス抵抗性の制御機構について、STAT3の上流シグナルを含め検討を追加する。また、他のドライバー遺伝子異常陽性肺がんにSTAT3阻害薬の併用治療が応用可能かin vitroで検証を行う。
|
Causes of Carryover |
研究が順調に進んだので、当初の計画に積算していなかった他のドライバー遺伝子異常陽性肺がんにSTAT3阻害薬の併用治療が応用可能か検証するために使用したい。
|