2021 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞と老化細胞を標的とした分子標的治療薬耐性の克服
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20K08518
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
立原 素子 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (40448626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (20291453)
山本 正嗣 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40542139)
小林 和幸 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (50403275)
永野 達也 神戸大学, 医学研究科, 講師 (80624684)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 老化細胞 / 非小細胞肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮成長因子受容体(EGFR)などの特定の遺伝子の変異によって生じる肺がんに対して、そのチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は劇的な効果を示すことが証明されたが、がん細胞がTKIに対して薬剤耐性を示すようになるため、根治は依然として不可能なままである。申請者らはEGFR-TKI投与後に残存する薬剤耐性クローン(DTPs;drug-tolerant persisters)ががん幹細胞と細胞老化を起こした細胞の少なくとも2種の異なる細胞群で形成されることを発見した。また、EGFR-TKIと同様、ALK-TKIにおいても、治療数年後に薬剤耐性の獲得が起こることが知られている。その薬剤耐性機序として、神経内分泌腫瘍への形質転換が起こることが双方のTKIで報告されている。本研究は、①薬剤耐性の機序として重要な、非小細胞肺がんから小細胞肺がんへの形質転換におけるがん幹細胞の役割や、②がん幹細胞から小細胞肺がんへ分化する機序を解明し、治療法の開発に結びつけることを主な目的としている。 申請者はALK-TKIにより形質転換が起こった組織で幹細胞のマーカーであるCD133やSOX-2と老化細胞のマーカーであるBCL-2を発現していることを発見した。 ALK-TKIでもDTPsと呼ばれる耐性クローンが誘導されるかをまず確認する。そのために、ALK遺伝子陽性肺がん細胞株H2228にALK-TKIとしてAlectinib(3 μM)を投与し、DTPsを作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ALK遺伝子陽性肺がん細胞株H2228の細胞増殖が悪く、条件検討を繰り返している。安定して育ってくれば、DTPsを作成するための条件検討に移る。DTPs作成後は、速やかに細胞実験を進めることが出来る体制を作っている。
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Strategy for Future Research Activity |
DTPsの作成が成功すれば、がん幹細胞の表面マーカーのひとつであるCD133を用いて、DTPsよりCD133 high/lowの細胞群に分離し、①CD133 high群の細胞集団ががん幹細胞の特性を有すること、②CD133 low群の細胞集団が細胞老化を起こした細胞の特性を有することを検討し、それぞれ、ウィザフェリンAと糖代謝阻害剤により細胞死を誘導することができるかを確認する。また、幹細胞を神経内分泌細胞に分化させる因子が何かについてまで明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
細胞実験の進捗がやや遅れており、今年度に予算を回している。安定して細胞が増殖をはじめたら速やかにフローサイトメトリーなどの抗体を購入して解析を行っていく予定である。
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