2021 Fiscal Year Research-status Report
小細胞肺癌における酸化ストレス応答系の破綻機序の解明
Project/Area Number |
20K08524
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
光石 陽一郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (10647001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 友一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70516880)
林 大久生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70569128)
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 教授 (80245711)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 小細胞肺癌 / 酸化ストレス応答経路 / Keap1-Nrf2経路 / 非小細胞肺癌 / 抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は申請者がCancer Cell Line Encyclopediaの約1000種類の細胞株のRNAseqのデータをもとに小細胞肺癌の細胞株で見出したKEAP1遺伝子のvariant isoformの機能解析を通して、このようなバリアントが腫瘍形成でどのような役割をはたしているかを検証する目的で進めている。前年に引き続き実験計画の中の(3)変異型KEAP1の細胞増殖・抗癌剤治療に与える影響の解析、そして(4)臨床検体を用いた解析を中心に実験を行った。 変異型KEAP1をKEAP1ミスセンス変異によりKEAP1の機能が欠失しNRF2が恒常的に活性化している肺腺癌細胞株A549に発現させたところ、NRF2と標的遺伝子の発現の低下はみられなかった。これは変異型KEAP1もKEAP1の機能を欠失していることが考えられた。同様の現象は他のKEAP1ミスセンス変異を有する肺腺癌の細胞株でも確認された。 上記の細胞株を用いて変異型KEAP1の細胞増殖・抗癌剤治療に与える影響の解析したところ、いずれも変異型KEAP1の発現株は野生型KEAP1の発現株と比較して有意な細胞増殖抑制効果は観察できなかった。さらに、小細胞肺癌の標準治療で使用される白金製剤シスプラチンを用いて薬剤感受性試験を行ったところ、変異KEAP1発現株は野生型KEAP1発現株に比べて薬剤感受性が有意に低下していた。これらは変異型KEAP1が細胞増殖を促進し抗癌剤耐性を獲得していることを示唆する結果である。 小細胞肺癌細胞株での実験を行うなかで、肺腺癌のRNAseq解析で、申請者が最初に発見した小細胞癌とは異なるバリアントを検出しており、上記の結果と合わせると肺腺癌でも当初の仮説を示せる可能性が高く、今後小細胞肺癌の解析とあわせて進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞実験に関しては複数の肺腺癌細胞株を用いて概ね仮説に近い結果が得られており計画通りに進んでいる。臨床検体でもことなるバリアントが検出できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
小細胞肺癌細胞株での実験を行うなかで、肺腺癌のRNAseq解析で、申請者が最初に発見した小細胞癌とは異なるバリアントを検出しており、上記の結果と合わせると肺腺癌でも当初の仮説を示せる可能性が高く、今後小細胞肺癌の解析とあわせて進めていく。
|
Causes of Carryover |
本年度は小細胞癌の細胞株を用いた解析を計画していたが、前年度に作成が進んでいた肺腺癌の細胞株での解析が進んだため、今年度は小細胞癌での解析をこれまで以上に積極的に進めていく計画である。
|