2021 Fiscal Year Research-status Report
小胞体選択的オートファジーによる特発性肺線維症の病態制御
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20K08528
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
沼田 尊功 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30366257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 弘道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70398791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / 特発性肺線維症 / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の肺上皮細胞では異常蛋白蓄積による小胞体(Endoplasmic Reticulum:ER)ストレスが増加している。過剰なERストレスは細胞死、細胞老化を誘導し肺線維化を促進すると考えられている。ER選択的オートファジーのERファジーは、ERストレス応答の軽減により肺線維化を制御すると予想される。ERファジーの過程にはいくつかのアダプター蛋白が関与することが報告されているが、本年、新たに、TEX264がERファジーの過程に重要な役割を果たしていることが報告された。肺組織のMicroarrayのデータベース、さらに、我々のプレリミナリーな肺組織の免疫組織染色の検討では、IPF肺組織ではTEX264発現が低下していた。ERファジーの低下によりERストレス反応が増強することがIPFの病態に関与している可能性が高い。 しかしながらこれまで、IPFにおけるERファジーの役割についての検討はなされていない。そこで、本研究では、ヒト肺組織、分離培養細胞(気道上皮細胞、肺胞上皮細胞)、マウスモデルを用いて、IPF病態におけるERファジーの役割を特にTEX264発現との関連から明らかとし、さらにIPFの新規治療開発の知見を得ることを目的とした。 本年度は、肺手術検体を用いてIPF肺組織の様々な蛋白発現について、継続して実験を行った。TEX264の免疫染色では、コントロールに比べ、IPF肺組織の異常な気道上皮で発現の低下しており、ERファジーが低下していると考えられた。一方、ER蛋白のFAM134BとCCPG1についても検討を行ったが、評価可能な結果が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けつつも、2020年度の遅れをやや取り戻しつつある。 ERファジーには,TEX264以外にも、FAM134B, CCPG1など様々な分子が関与しており、現在、ヒト肺組織を用いて検討を行っている。免疫組織染色に適した抗体が少なく、また、条件検討などによりやや進行遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒト肺組織を用いた検討に加え、INVITROの検討も行う。分離培養した気道上皮細胞、肺胞上皮細胞にTunicamycin、DTT,喫煙刺激を行い、ERストレスを増加し、細胞死、細胞老化を誘導する。(化学シャペロン4-phenyl butyric acidにてERストレスの抑制が細胞死や細胞老化を抑制することも確認する。)上記条件で、TEX264,FAM134B, CCPG1ノックダウン、強制発現にてERファジーを抑制、亢進し、ERファジーのERストレス誘導細胞死、細胞老化への影響を検討する。 また、IPFでは線維芽細胞においてERストレスは筋線維芽細胞分化を誘導するため、筋線維芽細胞分化におけるERファジーの役割も同様に検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画に若干の遅れがあったため差額が生じたが、次年度の計画に沿って使用していく予定である。
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