2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症におけるγδ細胞の役割解明と治療応用に向けた基盤研究
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20K08543
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂本 憲穂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (30448493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迎 寛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80253821)
田中 義正 長崎大学, 先端創薬イノベーションセンター, 教授 (90280700)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | γδ型T細胞 / 肺線維症 / コラーゲン / 肺線維芽細胞 / 気管支肺胞洗浄 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺線維化とヒトγδ型T細胞の相関を明らかにするために、まずは細胞モデルを用いて検証を行った。ヒトγδ型T細胞は末梢血単核球分画から増殖誘導を行い、高純度かつ大量のγδ型T細胞を得た。細胞モデルとしてヒト肺線維芽細胞とヒトγδ型T細胞を共培養させたところ、肺線維芽細胞の1型コラーゲンの減少、COL1A1-mRNA、COL1A2-mRNAの発現の低下を認めた。またCulture Insertを用いて細胞間の直接接触を阻害すると、このコラーゲンの抑制作用は消失した。これらの結果からヒトγδ型T細胞の肺線維芽細胞に対するコラーゲン抑制作用は直接接触が必要であることが示唆された。またγδ型T細胞の活性剤であるHMBPP((E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブテニル二リン酸)をヒトγδ型T細胞に作用させたところ、 コラーゲン減少を誘導するγδ型T細胞の必要数は大幅に減少し、またCulture Insertを用いた場合でもコラーゲンの抑制作用を認めた。HMBPPで刺激したヒトγδ型T細胞はIFNγやTNFαなどのサイトカインを放出するため、コラーゲン抑制作用の機序として液性因子の関与も示唆された。最終年度では、ヒトγδ型T細胞が有する肺線維芽細胞のコラーゲン産生抑制作用について検討を行った。まずはヒトγδ型T細胞で処理をした肺線維芽細胞と処理をしていない肺線維芽細胞のRNA発現をRNA sequenceの手法を用いて網羅的に検討した。これらのなかで発現が低下し、線維化に関連するRNAを抽出した。現在これらの遺伝子、タンパクの発現を中心に機序の解明を進めている。また本研究では線維化性間質性肺炎患者の血液、気管支肺胞洗浄液中のγδ型T細胞の免疫学的解析も実施したが、各疾患や線維化とγδ型T細胞との関連は明らかにできなかった。
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Research Products
(6 results)