2020 Fiscal Year Research-status Report
沖縄県における夏のインフルエンザ流行パターンとウイルスのゲノム解析
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20K08544
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤田 次郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80209056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原永 修作 琉球大学, 病院, 特命准教授 (10381237)
健山 正男 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50274907)
宮城 一也 琉球大学, 病院, 講師 (90631987)
金城 武士 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90724211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / ゲノム解析 / 疫学 / 亜熱帯 / 沖縄 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、沖縄県をはじめとして全国的にインフルエンザウイルス感染症の症例数は激減した。そのため、本研究課題は多大なる影響を受けたが、COVID-19流行によって、沖縄県独特の現象であった夏のインフルエンザ流行が2019-2020シーズンにはみとめられなかった。このことに関しては、日本呼吸器学会の機関誌であるRespiratory Investigationに発表した(Sunagawa S, Iha Y, Kinjo T, Nakamura K, Fujita J. Respir Invest. 2021; 59(1): 149-152)。2019-2020シーズンの沖縄県における夏のインフルエンザ流行がなくなった要因として、COVID-19に対する国を挙げての感染対策の強化、すなわち、マスク着用と手洗いの徹底、リモートワークの推奨、大規模イベントの中止などがインフルエンザ流行にも抑制的に働いたと考えられた。インフルエンザの流行と気象(気温、湿度)との関連に関しては、インフルエンザA型の流行は気温と湿度に逆相関し、インフルエンザB型は湿度と正の相関を示すことを既に報告しているが、COVID-19流行前のデータを整理し、既存のデータに症例数を追加して解析しているところである。次世代シークエンサーを用いたインフルエンザウイルスのゲノム解析に関しては、沖縄県衛生環境研究所と共同研究を行い、保存してあるインフルエンザウイルス臨床分離株(2019年4月~2020年3月)の供与を今後受けることになっており、琉球大学大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学の実験室にてウイルス培養を行い、ゲノム解析を行うべく準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題申請時には予想だにしていなかった、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの襲来により、沖縄県ではインフルエンザウイルス感染症の症例数がほぼゼロとなった。加えて、COVID-19患者診療に追われ、研究代表者と研究分担者全員の本研究課題に費やす時間が大幅に減少してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザ感染症について既存データの解析を中心に行う。沖縄県衛生環境研究所から供与をうける保存ウイルス株の培養を行い、ゲノム解析を行う。また、COVID-19疑いで検体採取された患者のインフルエンザウイルスを含む、SARS-CoV-2以外の呼吸器ウイルスをmultiplex PCRにて検出し、COVID-19流行時における呼吸器ウイルスの疫学について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初は、学会発表(旅費)に使用する計画だったが、新型コロナがまん延し渡航制限や学会のWeb開催などにより、旅費の支出がなかった。 次年度も同様な状況であれば、旅費は研究試薬にあてる予定である。
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