2023 Fiscal Year Research-status Report
機械感受性チャネルPiezo1とメカノセンサーを標的とした呼吸器疾患の病態解明
Project/Area Number |
20K08554
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 理 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60378073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (70467281)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / メカニカルストレス / 基質硬度 / Piezo1 / ストレッチ / 喘息 / 肺線維症 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧縮、流れずり応力、ストレッチ、基質硬度など、機械的刺激(メカニカルストレス)や機械的環境(メカニカル環境)は、呼吸器の発達、生理機能と恒常性の維持に必要 不可欠である。一方で、過剰なメカニカルストレスやメカニカルストレスに対する呼吸器の応答の不具合は、気管支喘息、COPD、肺線維症、人工呼吸器関連肺損 傷、肺癌を含む多くの呼吸器疾患の病態機序につながる因子となると考えられている。 研究代表者らは、「呼吸器細胞のメカノセンサーとして働く」、更には「喘息や肺線維症など、メカニカルストレスや、メカニカル環境が病態形成に関与する」、との仮説を立てて研究を行ってきた(Ito S, Curr Opin Physiol 2021;21:65-70)。特に、メカノセンサー分子に着目している。 2010年Patapoutian博士らにより、機械感受性Ca2+チャネルとしてPiezo1, Piezo2が発見された(Coste B, et al., Science 2010;335:55-60)。近年、Piezo1は平滑筋の機能維持に重要であり、先天的なPiezo1遺伝子異常は平滑筋異常を来すPrune Belly症候群の原因となることが報告された(Amado NG, et al., Nat Commun 2024;15:339) 研究代表者は、細胞レベルの実験において、培養ヒト気道平滑筋細胞および肺線維芽細胞にはPiezo遺伝子、特にPiezo1のmRNA発現が発現していることを確認し、siRNA導入によりmRNA発現レベルが抑制されることを確かめた。Piezoによる気道平滑筋細胞や肺線維芽細胞、肺胞上皮細胞の機能における制御機構について、引き続き検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染流行が続いたことに伴い、臨床業務の負担が大きくなり、大きな影響を受けた。新型コロナウイルス対策を含めた、救急診療に関する内容が業務の大部分を占めることとが研究に支障をきたす結果となった。 そのため、研究終了期間の1年延長を申請し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
Piezo1は、Prune Belly症候群の疾患原因遺伝子になることが判明するなど、平滑筋細胞機能維持に重要なイオンチャンネルであることが発見され、益々注目を集めている。 機械感受性イオンチャネルは細胞機能をつかさどる重要なメカノセンサーと考えられ、その呼吸器系細胞および呼吸器疾患との関連を追究することが研究目的である。ヒト気道平滑筋細胞ならびにヒト肺線維芽細胞におけるPiezo1発現については、既に実験により確認できている。 今後は、細胞機能に関しては、ヒト気道平滑筋細胞およびヒト肺線維芽細胞におけるメカニカルストレスに対する細胞応答に関して、Piezo1の役割を解明することを目標とする。 加えて、基質硬度による呼吸器細胞機能に関して、Piezo1以外の分子による制御機構についても、探索、追究していくことを目標としている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行の影響で、研究の進捗が遅れたため。
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