2021 Fiscal Year Research-status Report
新規シングルセル解析法を用いたじん肺発症-進展における包括的基盤研究
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20K08556
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety Japan Bioassay Research Center |
Principal Investigator |
山野 荘太郎 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部), その他部局等, 主任研究員 (80614528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 英志 藤田医科大学, 共同利用研究設備サポートセンター, 准教授 (50464996)
七野 成之 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (70822435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | じん肺 / TAS-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
じん肺は粉じんによって誘発される日本最大の職業性肺疾患であり、肺線維症のみならず肺がんを合併する事が問題となっている。 本研究では、高感度シングルセル解析技術を駆使し、じん肺の各病態発症-進展過程における構成細胞と異常な細胞間コミュニケーションの特定を時空間軸に 沿って俯瞰的に明らかにし、労働安全衛生に資するじん肺の基盤的な研究成果を提供したい。 2021年度では、じん肺のラットモデル動物について、投与後最大1年間までのサンプリングが完了した。投与後26週間の肺サンプルについて、予定通りシングルセル解析を開始することができた。特にモノサイト・マクロファージについていつくか疾患特徴的なクラスターが同定され、その局在について検討中である。病理組織学的解析の結果では、シリカ及び酸化インジウムスズ切削片投与群では高度な線維化巣及び肺胞蛋白症のみならず、腫瘍性病変を観察した。以上の結果から、本試験モデルでは、じん肺発症から発がんまでを一貫して観察出来うる動物モデルとなった事が改めて確認された。 BALF及び血液生化学的マーカーについては、今後必要に応じて解析を進める予定であるが、じん肺による合併症としての腫瘍発生に起因するバイオマーカー探索についても視野を広げ、シングルセルデータとの連動より、マーカー分子の発現細胞種についても着目したい。 総合して、本年度の研究実績として、じん肺モデル動物の確認が完了し、シングルセル解析を予定通り開始することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度についても、2020年度同様、コロナ禍の影響により出勤日数の制限や研究体制の構築に制限がかかったため、研究に支障が生じた。 しかし、動物実験の本試験を滞りなく実施することができ、サンプリングが完了した。 加えて、研究分担者の研究施設で無事にシングルセル解析を実施することができた。 総合して、概ね順調に進める事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルセル解析をさらに進め、疾患に特徴的な細胞クラスターとそのマーカー分子を決定し、病理切片上での確認を進める予定である。
上記データが出揃った段階で、論文化させる。
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Causes of Carryover |
一部の実験が順調に進んだため。
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