2020 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiological roles of cell senescence related gene in the polycystic kidney disease
Project/Area Number |
20K08583
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
波多野 亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (60521713)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 素行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (20377906)
三木 隆司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50302568)
Wiriyasermkul Pattama 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80825836)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Zfp277は発生・分化・老化を制御する転写制御因子ポリコームタンパク質の一種であるBmi1と相互作用する分子であり、Zfp277の欠損は細胞の老化を亢進させることが想定されている。本研究においては、Zfp277の生体内における細胞老化制御における役割を明らかにする目的で研究を開始した。2020年度は培養細胞を用いた解析とZfp277ノックアウトマウスの解析を中心に実施した。Zfp277は生体内においてはユビキタスな発現が見られるが、腎臓以外の臓器では脳室上衣細胞や膵β細胞などにおいても発現しており、核や繊毛に局在する様子を新たに見出している。マウス腎髄質集合管細胞株であるmIMCD細胞における一次繊毛での局在を見出しているが、マウス膵β細胞株であるMIN6細胞においても一次繊毛における局在を示すことも新たに見出しており、一次繊毛において何らかの機能を担っていることが想定された。Zfp277ノックアウトマウスは正常に生まれ、60週近くまで生存することが判明しており、細胞老化は亢進しているものと考えられるが生存への影響は必ずしも大きくないものと考えられた。当初の想定された腎臓での嚢胞形成についてはその変化は想定していたほど明瞭ではなく、何らかの負荷がかかることが嚢胞性腎疾患の表現型形成に必須である可能性が想定されるため、高塩分食や高脂肪食の負荷による影響についても検討を進める必要が考えられた。また、膵島においてβ細胞の老化に関与している可能性も想定されることから、その生理学的役割についての検討を進めていく。現時点において、Zfp277の発現自体が個体発生や生存に必ずしも必須ではないと考えられるが、何らかの環境要因による発現や機能の変動が疾患の発症と結びついている可能性が考えられ、この点を明らかにすることが関連疾患の治療法の開発に結びつく可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zfp277欠損マウスの解析において、当初想定していた顕著な腎嚢胞形成が見られず、発症には何らかの環境要因が関わっている可能性が考えられた。出産後の母マウスが高頻度で突然死を起こすなど、当初予期していない表現型も見られており、これらの原因の解明を検討する必要がある。一方、膵臓においては単離膵島においてZfp277発現を認め、特に膵β細胞における細胞老化に関わる可能性などを見出しており、並行して解析を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスにおける表現型解析については、高塩分食や高脂肪食を与えることで負荷をかけることにより、嚢胞形成が促される可能性などについて検討を進める。また、一方で、当初の計画通り、培養細胞を用いた解析を進める見込みである。mIMCD細胞、及びMIN6細胞についてCRSPR-Cas9法によるZfp277欠損細胞株を樹立して実験を行う予定である。ゼブラフィッシュ、プロテオーム解析については引き続き準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
当初は、学会参加旅費を計上していたが、新型コロナウイルスによりオンライン開催と変わったため、一部費用が残ったため翌年度に繰り越す予定である。2021年度は感染拡大状況からも国内外の学会参加は引き続きオンラインによるものとなる見込みであり、実験試薬等の物品購入に充てる予定である。
|