2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミネラロコルチコイド受容体を介したPendrin制御機構とその病的意義の解明
Project/Area Number |
20K08585
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
鮎澤 信宏 杏林大学, 医学部, 助教 (50459517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高血圧 / 腎臓 / ミネラルコルチコイド受容体 / 尿細管 / pendrin / Rac1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はRAAS亢進時などの高血圧性病態における腎遠位尿細管機能の変化につき特にミネラルコルチコイド受容体(MR)を介した経路に着目して研究を行ってきた。 アルドステロン過剰時には集合管主細胞のMR-ENaC経路の活性化により低K血症性代謝性アルカローシスが生じ、アルカローシスが間在細胞pendrin活性化を起こすが、その機序は不明であった。単純なアルカリ負荷時には、αケトグルタル酸産生亢進を介した経路や、IRRやsoluble adenylyl cyclase(sAC)などのアルカリ感受性分子を介した経路がpendrinを活性化することが知られる。これら経路への介入実験の結果、αケトグルタル酸経路やsACはアルドステロン過剰時のpendrin活性化には関連していないことが示唆された。今後、IRRへの介入実験を計画している。 なお、これまでの解析の中で、RAAS亢進時には腎遠位尿細管の各区域・細胞において輸送体の発現などの変化が起こるだけではなく、各区域長や構成細胞数の変化(リモデリング)が起こることも示唆された。免疫染色とdeep learningによる自動計測を組み合わせて、遠位尿細管リモデリングの詳細な解析を進めている。 また、腎MR活性の調節に関わる因子の一つとして多機能な低分子G蛋白であるRac1が知られる。遠位尿細管特異的Rac1欠損マウスを用い、高血圧性病態モデルにおいてRac1がMRを介した腎尿細管機能変化にどのように関与するか解析を計画した。しかし、同マウスは出生直後の腎髄質発達に異常をきたすことが明らかとなった。解析の結果、Rac1は出生直後の腎髄質において起こる浸透圧応答に関わるNFAT5経路の調節にも関与しており、この経路の破綻が上記の髄質発達障害に寄与していることが明らかとなった。本成果は国際学術誌に報告した。
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Research Products
(2 results)