2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of the glomerular injury after IgA deposition on mesangial cells in IgA nephropathy model mice
Project/Area Number |
20K08588
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80444157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IgA腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6マウスへのBaff遺伝子導入により、血中IgA濃度が上昇し、腎糸球体メサンギウム領域にIgAが沈着することがすでに確認されている。さらに12か月後にはメサンギウム細胞増多、15カ月後にはメサンギウム細胞融解が生じることが確認された。そこで、IgA沈着後に糸球体構成細胞にどのような遺伝子が発現するかを比較検討するため、C57BL/6マウスにBaff遺伝子を有する発現ベクターまたはmock発現ベクターを遺伝子導入し、遺伝子導入1.5か月、3か月、および4.5か月後にマウスからそれぞれ糸球体を単離し、RNAを抽出し、RNAシークエンシングを行って、Baff遺伝子導入1.5か月、3か月、および4.5か月後の時点での、2群間において統計学的に有意に発現上昇または発現低下している遺伝子群の同定を行った。その結果、Baff遺伝子導入3か月後に、対照と比較して発現増強した遺伝子数が最も増加しており、主に炎症反応、サイトカイン産生制御、免疫細胞活性化に関与する遺伝子の発現が増強していた。その中である遺伝子Xに着目した。C57BL/6、BALB/C、C3H/HeNと遺伝的背景の異なる3種類のマウスにそれぞれBaff遺伝子を導入したところ、1.5か月および4.5カ月後のC57BL/6マウスおよびC3H/HeNマウス腎の定量的RT-PCRにて、遺伝子Xの発現増強が確認された。一方、BALB/cマウスにおいては遺伝子Xの発現は殆どみられず、メサンギウム領域にIgAが沈着した後の遺伝子発現には、遺伝的背景が影響している可能性が考えられた。現在Baff遺伝子を導入したC57BL/6、BALB/C、C3H/HeNマウスの長期的な影響を観察しており、ヒトにおいてIgAが沈着しながら糸球体障害が進行する症例としない症例がなぜ存在するのか、その原因解明につながる可能性が期待された。
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