2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of DEC1 on renal fibrosis and apoptosis induced by ischemia reperfusion injury
Project/Area Number |
20K08592
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 歩 広島大学, 医系科学研究科(医), 共同研究講座教授 (40448262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 崇生 広島大学, 病院(医), 教授 (30397913)
東 幸仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40346490)
河本 健 広島大学, 学術・社会連携室, 特任教授 (50224861)
土井 盛博 広島大学, 病院(医), 助教 (80626127) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DEC1 / 時計遺伝子 / アポトーシス / 低酸素 / P53 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
DEC1は、光刺激や低酸素によって発現が急激に増加して分子時計の位相をシフトさせる能力を持ち、環境の変化に生体の概日リズムを順応させるユニークな時計遺伝子である。近年、時計遺伝子が分子時計の調節以外にも様々な役割を担っていることが報告されている。本研究では、心筋梗塞後の低酸素状態によって誘導されたDEC1がアポトーシスを抑制する機序と生体内での役割について、野生型マウスとDEC1ノックアウトマウスを用いて明確にすることを目的とする。 マウスの冠動脈左前下行枝を結紮する心筋梗塞モデルを作製し、死亡率を比較したところ、野生型マウスと比較して、DEC1ノックアウトマウスでは有意に死亡率が低下していた。さらに、DEC1ノックアウトマウスでは、心筋梗塞周囲のP53タンパク発現量が著明に増加するとともに、アポトーシス領域が拡大していた。一方、野生型マウスと比較して、DEC1ノックアウトマウスでは心筋梗塞周囲の炎症細胞浸潤が減少していた。 令和4年度は、P53のプロモーター領域には時計の調節領域であるE-box(CACGTG)が存在しており、Chip assayを用いてDEC1タンパクが直接的にP53のプロモーター領域のE-boxに結合し、P53の転写を調節することを明らかにした。さらに、P53の阻害薬を前投与しておくと、DEC1ノックアウトマウスにおける心筋梗塞後の死亡率の低下が消失した。 以上より、低酸素で誘導されたDEC1によるアポトーシスの抑制は、心筋梗塞後においては、心筋への炎症細胞浸潤を増加させ、心破裂や心不全を増加させる可能性が示唆された。
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