2020 Fiscal Year Research-status Report
腎幹細胞を起点とする尿細管再生システムを利用した加齢腎再生の試み
Project/Area Number |
20K08596
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
前嶋 明人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70431707)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 尿細管再生 / 急性腎障害 / 腎幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害後、尿細管細胞は一過性に壊死に陥るものの非常に高い再生能力を発揮して元の構造を再構築する。しかし、尿細管の再生能力は加齢とともに低下し、高齢者では腎機能が回復せず透析導入に至るケースも少なくない。最近我々はその要因として「加齢に伴う腎幹細胞数の減少」を明らかにした。 本研究では「腎幹細胞を起点とする尿細管再生システム」を利用した「加齢腎の再生」を試みる。Doxycycline誘導Histone 2B-GFPマウスを用いて、分裂速度の非常に遅い腎幹細胞をGFP標識し、FACSにより分離・培養法を確立して腎幹細胞の増殖・分化様式を明らかにする。さらに、プロテインアレイを用いて腎幹細胞特異的に発現しているリガンド・受容体を探索する。その中から腎幹細胞活性化因子を同定し、高齢マウスで減少している腎幹細胞を増やすことができるかを確認する。本研究で得られた知見は、高齢者腎不全を減らすための腎再生医療の進歩に大きく貢献するものと思われる。 今年度は、当初本研究に使用する予定であったHistone 2B-GFPマウスの海外輸入が新型コロナウイルス感染の蔓延により困難となった。そのため、腎幹細胞の標識方法をBrdUラベリング法に置き換えて上記実験を進めており、加齢に伴うBrdU陽性腎幹細胞数の減少を再確認している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度途中に所属先を変更したこと、および新型コロナウイルス感染の蔓延に伴い、使用予定していたHistone 2B-GFPマウスの輸入が困難になったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
Histone 2B-GFPマウスを使用することが困難になったため、腎幹細胞標識をBrdUラベリング法に置き換えて腎幹細胞を選択的に分離し、活性化因子の探索を行う。具体的には、プロテインアレイ(R&D systems:Cytokine Array、Phospho-Receptor Tyrosine Kinase Arrayなど)を用いて、腎幹細胞特異的に発現しているリガンドあるいは活性化(リン酸化)している受容体をスクリーニングする。対照コントロールにはGFP陰性細胞を用いる。上記結果は、Real-time PCR、ウェスタンブロットにより再確認する。さらに、その因子が腎幹細胞特異的に発現していることを免疫染色やin situ hybridizationを利用して組織学的に評価する。腎幹細胞活性化の指標として、最近我々が開発した3次元尿細管誘導モデル(Miya, Maeshima et al. Am J Physiol Renal Physiol 301: F387-95, 2011)における管腔形成能や増殖能(MTTアッセイ/BrdU取り込み/Ki67染色)を用いる。
|
Causes of Carryover |
年度の途中で所属先を異動したこと、および新型コロナウイルス感染のまん延に伴い、様々な研究試薬の購入に時間を要しているため。
|