2022 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体内皮細胞-上皮細胞連関におけるsGC活性化の意義と治療戦略
Project/Area Number |
20K08602
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
長洲 一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40412176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / sGC / 糸球体上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:本邦における慢性腎臓病(CKD)患者は増加傾向にあり、死因の第8位を占め、重要な医療問題としてその解決が望まれる。早期のCKD発症には内皮機能障害が重要であることを報告してきたが、多くの基礎研究から糸球体上皮細胞障害が腎不全に至る糸球体硬化病変の形成に重要であることが判明している。このため糸球体内皮細胞から上皮細胞への障害機序伝搬・クロストーク機序(内皮-上皮連関)が想定される。「内皮機能障害によるeNOS-NO機能不全が糸球体上皮細胞のsGC活性化低下を介して、糸球体硬化病変形成を促進させる」との仮説を証明する。 方法:糸球体上皮細胞におけるsGC活性化の意義を検討する。eNOS-NO経路の破綻によって認められる現象が糸球体上皮細胞におけるsGC活性化の低下の影響を検討するため糸球体上皮細胞特異的sGC欠損マウス(podo-sGC-KO)を作成した。本マウスにストレプトゾトシン(STZ)糖尿病モデルを作成し組織変化及びGFRへ与える影響を検討した。 結果:糸球体病変の評価としてPAS染色を行った。podo-sGCfl/fl-STZではメサンギウム基質の増加を認めた。糸球体上皮細胞のsGCタンパク発現を免疫染色で検討したところ糖尿病発症により有意な増加を認めていた。またpodo-sGCfl/fl-STZではsGCタンパク発現は消失していた。また糸球体サイズを計測したところ糖尿病モデルマウスでは糸球体サイズの増大を認めるがpodo-sGCfl/fl-STZでは変化を認めなかった。結語: 糖尿病性腎臓病の糸球体上皮細胞におけるsGC活性化は糸球体病変の形成に抑制的な役割を担っている。今後、さらなる検討を行う。
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