2020 Fiscal Year Research-status Report
Association of amino acids in autosomal dominant polycystic kidney disease progression
Project/Area Number |
20K08603
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西尾 妙織 北海道大学, 大学病院, 講師 (90463736)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 多発性嚢胞腎 / アミノ酸 / アミノ酸トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多発性嚢胞腎(ADPKD)の進展におけるアミノ酸の関与、L-type Amino Acid Transporter 1(LAT1)の作用機序を解明し、新規治療薬の開発を目指すことを目的としている。本研究でADPKDの嚢胞形成機序が明らかとなり、さらに治療法が開発されることはADPKD患者の末期腎不全患者を減らす可能性があり、全世界的に重要な研究である。さらに食事で摂取されるアミノ酸が進行に寄与することが明らかとなれば、薬物療法のみならず、普段の食事療法で進行予防ができる可能性がある。 A DPKDモデルマウスに対して必須アミノ酸投与をすると嚢胞が悪化することはすでに報告しているが本年度は逆に制限することによって嚢胞形成が改善されるかについて検討を行った。さらにアミノ酸トランスポーターの作用機序を明らかにするために多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPkd1とLAT1の遺伝子であるSlc7a5の両方がノックアウトされたダブルノックアウトマウスを作成し解析を行った。これまでの研究結果からアミノ酸が嚢胞を悪化させることは報告しており、LAT1が悪化の要因である可能性を考えていたため、ダブル ノックアウトマウスでは嚢胞が改善されると仮説をたてていたが、仮説に反して嚢胞は悪化した。その原因について、様々のシグナルを解析している。 治療薬の開発に向けてはLAT1阻害薬を2種類のADPKDモデルマウスに対して投与し、嚢胞が改善される事を確認した。 これらの研究の結果から、多発性嚢胞腎の食事の重要性、さらには治療薬の開発の可能性がでてきておりさらに研究を継続する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまずアミノ酸の制限になり得るタンパク質制限をADPKDモデルマウスであるPkd1 lox/lox:Mx1-creマウスに対して行った。アミノ酸制限が嚢胞を改善させると仮説をたてていたが、過度なアミノ酸制限はむしろ嚢胞を悪化させる可能性が示唆される結果であった。この結果はヒトADPKD患者において、食事制限という観点からは非常に大切な点であり、さらに解析を進める予定であるある。 LAT1の作用機序の解析ではヒトADPKDモデル動物でLAT1が欠失しているPkd1 lox/lox:Slc7a5 lox/lox:ksp-creマウス、Pkd1 lox/lox:Slc7a5 lox/lox:pkhd1-cre:マウス、Pkd1 lox/lox:Slc7a5 lox/lox:Mx1-creマウスの3種類の実験動物を作成し、解析を行った。ダブルノックアウトマウスでは、アミノ酸の取り込みを阻害するため,嚢胞腎が改善すること仮説をたてていたが,仮説に反して嚢胞は悪化した。これはアミノ酸の過剰制限が原因ではないかと考え、様々なシグナル解析を行った。その結果,我々はこれまでにADPKDでは明らかになっていないアミノ酸枯渇によっておこる新たなシグナルの亢進を発見した。さらにPkd1 lox/lox:ksp-creマウス、Pkd1 lox/lox:Mx1-creマウスに対してLAT1阻害薬の投与を行い,嚢胞が改善することを明らかにし、その機序の解明おこなっている.さらには,現在唯一のヒトで適応のあるバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンとの併用の効果の解析も行い,併用療法の有効性についての結果も得ることができている
|
Strategy for Future Research Activity |
ADPKDに対するアミノ酸の関与に関しては、ADPKDモデルマウスに対するアミノ酸制限の代ADPKDに対するアミノ酸の関与に関しては、ADPKDモデルマウスに対するアミノ酸制限の代用としての蛋白制限の解析をすすめ、LAT1とのダブルノックアウトマウスで嚢胞が悪化しているのと同様のアミノ酸枯渇シグナルがどの様に嚢胞形成に関与しているかを解析する予定である。さらにダブルノックアウトマウスに対しても蛋白負荷、蛋白制限を行い、ADPKDの進展におけるアミノ酸の役割の解析を行っていく。 ダブルノックアウトマウスの解析は、アミノ酸枯渇のシグナル経路に加えて、これまで報告されている。MAPK経路、mTOR経路など広く解析をおこない、ADPKDの進展にどの様にLAT1が関与しているかを解析していく予定である。 新規治療薬の開発に向けてはLAT1阻害薬の投与を行い、嚢胞形成が抑制されている結果が得られているため、どのシグナル経路が変化することで嚢胞が抑制されているのかについて解析を進める。アミノ酸枯渇が悪影響を与えるとすると、LAT1阻害薬の過剰投与がマウスに対して悪影響がでる可能性が考えられる。LAT1阻害薬の至適投与量の検討も行っていきたい。さらにトルバプタン併用で相乗効果が得られており、併用することでのシグナルについても明らかにしていく。
|
-
-
[Journal Article] Recombinant thrombomodulin ameliorates autoimmune vasculitis via immune response regulation and tissue injury protection.2020
Author(s)
Watanabe-Kusunoki K, Nakazawa D, Kusunoki Y, Kudo T, Hattanda F, Nishio S, Masuda S, Tomaru U, Kondo T, Atsumi T, Ishizu A.
-
Journal Title
J Autoimmun
Volume: 108
Pages: 102390
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Impact of Weekly Teriparatide on the Bone and Mineral Metabolism in Hemodialysis Patients With Relatively Low Serum Parathyroid Hormone: A Pilot Study.2020
Author(s)
Yamamoto J, Nakazawa D, Nishio S, Ishikawa Y, Makita M, Kusunoki Y, Nagai S, Fujieda Y, Takahata M, Yamada K, Yamamura T, Yotsukura A, Saito M, Shimazaki M, Atsumi T.
-
Journal Title
Ther Apher Dial
Volume: 24
Pages: 146-153
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Increased urinary exosomal SYT17 levels in chronic active antibody-mediated rejection after kidney transplantation via the IL-6 amplifier2020
Author(s)
Takada, Y. Kamimura, D. Jiang, J, Higuchi, H. Iwami, D. Hotta, K. Tanaka, Y. Ota, M. Higuchi, M. Nishio, S. Atsumi, T. Shinohara, N. Matsuno, Y. Tsuji, T. Tanabe, T. Sasaki, H. Iwahara, N. Murakami, M.
-
Journal Title
Int Immunol
Volume: 32
Pages: 653-662
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Incidence of remission and relapse of proteinuria, end-stage kidney disease, mortality, and major outcomes in primary nephrotic syndrome: the Japan Nephrotic Syndrome Cohort Study (JNSCS)2020
Author(s)
Yamamoto, R. Imai, E. Maruyama, S. Yokoyama, H. Sugiyama, H. Nitta, K. Tsukamoto, T. Uchida, S. Takeda, A. Sato, T. Wada, T. Hayashi, H. Akai, Y. Fukunaga, M. Tsuruya, K. Masutani, K. Konta, T. Shoji, T. Hiramatsu, T. Goto, S. Tamai, H. Nishio, S. et al
-
Journal Title
Clin Exp Nephrol
Volume: 24
Pages: 526-540
DOI