2021 Fiscal Year Research-status Report
高温環境によるCKD発症の病態解明と細胞老化制御を介した治療標的の探索
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20K08607
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 由香 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60846864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 卓嗣 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00534835)
前田 佳哉輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00836306)
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90584681)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒートストレス / CKD / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱ストレスの慢性的な暴露で腎障害に進展する新しい病態の機序解明のため、研究代表者らは過去に熱ストレス誘因性CKD動物モデルを確立したことを報告した(Kidney Int. 2013, Am J Physiol Renal Physiol. 2019)。既報では、Heat stress下では飲水や餌の摂取ができない小さいHeat chamberを用いたため、連続したHeat stressを与えることはできなかった。今回、新たにHeat stress下で飼育可能な小動物用温度調節機能付チャンバーを購入し、昇熱ストレス下で連続飼育することで、実際の昇熱ストレスに近いモデルを作成した。 38度の高温環境で3時間連続で飼育後に、1時間の室温23℃環境の休憩をはさみ、再び38℃高温環境を3時間連続で飼育するモデルとした。まずは、新規モデルで昇熱による急性障害であるHeat strokeによる兆候や死亡例が認めないか確認した。次に、7時間の昇熱ストレス終了直前に、直腸温は環境温と同定度の38℃まで上昇していることを確認した。 さらに加齢とHeat stressの探求のため、生後10か月の高齢マウスを用いて実験を行った。8週齢の若年および40週齢の高齢のC57BL6の雄マウスに、前述の室温38℃高温環境を3時間暴露後、室温23℃を1時間の休憩後、再び38℃高温環境3時間の、1日当たり計6時間の高温暴露を連日行い、6か月後にサクリファイスを行った。若年マウスでは6か月のHeat stress暴露後でも腎機能悪化は認めなかったが、高齢マウスでは有意差をもって腎機能の悪化を認めた。また末梢血の好中球数は、高齢マウスで非暴露群・暴露群ともに若年マウスのコントロール群(非暴露群)より高値であったが、若年マウスの暴露群で好中球数が高齢マウスと同様に上昇していることが見いだされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、加齢促進マウスを用いた研究、若年マウスでの虚血性AKIに対する昇熱ストレスの研究を行ったが、加齢促進マウスで既報のような腎障害は認めず、若年マウスの虚血性AKIの結果も有意な結果が得られなかった。本年度から加齢マウスを購入し、再実験を行ったため、当初の研究から遅れを来している。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢マウスでの再実験では、仮説通り加齢による腎障害促進の結果を得ており、解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
購入試薬について、海外からの輸送による遅延、特にプラスチック製品の欠品が多く、代替品を探す作業が多く、実験の計画に多少の影響が出たため。加齢マウスでの虚血性AKIに対する昇熱ストレスの研究に使用する予定である。
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