2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the mechanisms of kidney disease progression and their regulation: roles of chronic inflammation and humoral mediators
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20K08611
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
向山 政志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40270558)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 慢性炎症 / 糖尿病性腎症 / MRP8 / ANGPTL2 / マクロファージ / osteocrin / 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)の発症・進行の病態解明と新たな治療法開発を目指して、その分子基盤として重要な腎内慢性炎症及びそれに関わる液性因子に注目して研究を進めてきた。 既に糖尿病性腎症や腎炎におけるマクロファージ-メサンギウム連関とそれにおけるMRP8の意義を報告したが、今回はさらに糖尿病状態のメサンギウム細胞でシングルセルRNA解析を行った。その結果、発現が明らかに低下する遺伝子としてNR4Aが抽出され、その下流でarginase 1が抑制されることでマクロファージの極性を調節している可能性を見出した。次に、多彩な作用を有する炎症惹起因子angiopoietin-like protein 2(ANGPTL2)の腎障害における意義について、虚血再灌流による急性腎障害(AKI)モデルで検討を行った。その結果、ANGPTL2欠損マウス腎臓では抗アポトーシス因子であるAktやERKのリン酸化が抑制されるとともにアポトーシスの亢進を認め、AKIの増悪がみられた。すなわち、腎臓におけるANGPTL2はCKDとAKIで異なる意義を有すると考えられた。さらに、骨由来Na利尿ペプチド関連因子osteocrin(Ostn)のCKD及びAKIにおける意義を検討し、Ostn過剰発現マウスがadriamycin腎症や虚血再灌流障害を軽減すること、その機序として局所でのANP/GC-A/cGMP系の活性化による尿細管でのWnt-βカテニン抑制が重要であることを報告した(Sci Rep 2021, Nephrol Dial Transplant 2022)。 以上より、これらの液性因子のCKDおよびAKI病態における意義が示唆され、創薬ターゲットとなる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示した内容について、進み方に違いはあるものの、ある程度成果が出てきており、また一部は想定した範囲をこえて内容が広がっている。また、そのいくつかについて学会発表(米国腎臓学会、国際腎臓学会、日本内分泌学会、日本腎臓学会等)、論文発表を行うことができた。さらに、論文発表の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病状態におけるメサンギウム-マクロファージ連関についてはさらに解析を進め、NR4Aなど候補遺伝子については欠損マウスを作製して役割を検討する予定である。ANGPTL2欠損マウスを用いた検討では、急性腎障害モデルでの解析をさらに進めるとともに、特にポドサイト特異的欠損マウスを用いた実験(糖尿病、腎炎モデル等)を開始する予定である。
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