2022 Fiscal Year Annual Research Report
急性腎障害の遷延機序解明を通した慢性腎臓病の重症化抑制法の開発
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20K08614
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
岡田 浩一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60233342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勉 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30406475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / 腎線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fucci2aRマウスとgGT.Creマウスの交配により、尿細管上皮細胞が細胞周期に対応して異なる蛍光を発するgGT.Cre;Fucci2aRTg/+マウス(G1/S期:mCherryによる蛍光、S/G2/M期:mVenusによる蛍光)を作出し、片側尿管を結紮する一側尿管閉塞(UUO)モデルと腎動脈を短時間クランプし開放する虚血・再灌流障害(IRI)モデルを作成し、短期(3日)から中・長期(7,14日)の腎組織病変における尿細管上皮細胞の細胞周期の変化を評価した。 その結果、UUOモデル3日、IRIモデル3日の腎組織において、S/G2/M期の細胞に発現するリポーターであるmVenusが陽性の尿細管上皮細胞数が有意に増加することを見出した。UUOモデルではその後もmVenus陽性細胞は存続していたが、IRIモデルではその後コントロール組織レベルにまで減少した。各モデル3日目の腎組織を酵素・超音波処理により単細胞化し、フローサイトメトリー法を用いてmVenous陽性細胞の単離を目指した。単細胞化のプロセスにおいて処理を十分に行うと生細胞数減少とシグナル減弱を生じ、処理を軽く行うと単細胞数減少を生じ、いずれのプロトコールでもmVenous陽性細胞の回収率が低く、それ以降の標的遺伝子発現解析等の検討には進めなかった。そこで組織透明化試薬CUBICと免疫組織化学を用いて、mVenous陽性細胞の線維化促進性形質の3次元解析を行うこととした。現在、染色プロトコールの調整中であるが、mVenous陽性細胞の内の一部が細胞周期休止期マーカーであるpHH3と共陽性になることから、線維化促進性形質を獲得している可能性のある細胞群はmVenous陽性細胞の一部である可能性が示唆された。
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