2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病の進展・予後予測におけるTNF受容体の血中動態の解明
Project/Area Number |
20K08617
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
合田 朋仁 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20365604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TNF受容体 / プログラヌリン / 糖尿病性腎臓病 / メガリン / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎機能正常の2型糖尿病患者499人の検討では、血中・尿中TNFRs(TNFR1、R2)は各々、アルブミン尿(ACR)と正の相関、eGFRとは負の相関を認めた。相関係数は、いずれとも尿中より血中TNFRsで高値であった。また、ACRの存在、あるいは、腎機能軽度低下(eGFR <90 mL/分/1.73m2)を従属変数にした場合、他の関連因子で補正しても血中TNFRsは独立した規定因子であった。一方、尿中TNFRsはアルブミン尿の存在のみの規定因子であった。よって、尿中より血中TNFRsの方が、早期腎障害を反映する可能性が示唆された。また、TNFRs排泄率(FeTNFR)とeGFRの間には相関は認めないことから、腎機能低下時に血中TNFRsが上昇する原因としては腎臓からの排泄低下というより、腎臓あるいは全身からの産生亢進に伴うものと推測される。 PGRN KOと野生型(WT)マウスに各々、通常食(SD)と高脂肪食(HFD)を8週齢から投与し、20週齢時に屠殺して評価した。ACR、尿細管障害マーカー、腎の炎症性サイトカインmRNAは、WT-HFDよりKO-HFDで高値だった。一方、体重、尿細管空胞化、全身・脂肪組織の炎症は、WT-HFDよりKO-HFDで低値だった。腎のメガリン発現は食事の種類にかかわらず、WTよりKOで低値であった。また、マウス尿細管細胞をTNF-αあるいはsiRNAでPGRNをノックダウンするとメガリンの発現は低下した。 PGRN欠損は、腎の炎症悪化、全身・脂肪組織炎症の改善と関与しており、KO-HFDの尿細管空胞化改善の一部に尿細管でのメガリン発現低下が関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回の研究課題は順調に進捗しており、すでに2つの英文論文が受理されている。残りの研究課題を引き続き行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進捗しており、残りの研究課題に関しても、引き続き行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたより、順調に実験もすすみ消耗品購入費用も節約できたため、次年度に持ち越すことになった。今年度の実験費用に、持ち越し分も考慮して使用していく。
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Research Products
(5 results)