2020 Fiscal Year Research-status Report
Acute kidney injury-induced mineral and bone disorder: concept and characterization
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20K08618
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
駒場 大峰 東海大学, 医学部, 准教授 (60437481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 骨ミネラル代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
高リン血症は慢性腎臓病患者において心血管疾患や死亡のリスクを増大させるだけでなく,腎障害の進展にも関連することが示されている。一方,リン負荷が急性腎障害の重症度に及ぼす影響はほとんど検討されていない。 そこでわれわれは,6週齢雄SDラットに標準食(リン含量 0.8%)または高リン食(リン含量 1.2%)を1週間投与した場合の影響を検討した。次いで1週間の標準食または高リン食の後,35分間の両側腎動脈虚血再灌流障害(IRI)を誘導またはsham手術を行った。術後はすべて標準食に切り替え,3日間の腎機能の推移やミネラル代謝の変化を評価した。 高リン食を1週間給餌したラットは尿中リン排泄の著明な上昇を示したが,腎機能やミネラル代謝に変化を認めなかった。1週間の標準食後にIRIを行った群では,sham群と比較し,手術翌日に著明なBUN上昇を示すとともに,血清リン値,PTH値,FGF23値の上昇,1,25(OH)2D値の低下を認めた。これらの変化は,術後2~3日目において改善傾向を示した。高リン食を1週間給餌した後にIRIを行ったラットでは,標準食後にIRIを行った群と比較し,手術翌日のBUN上昇やミネラル代謝の変化は同等であったが,2日目以降も改善せず増悪傾向を示した。IRI 3日後の腎組織でvon Kossa染色を行うと,高リン食後にIRIを行った群では標準食後にIRIを行った群と比較し,髄質を中心により高度な尿細管腔内の石灰沈着を認めた。 以上の結果より,ラットIRIモデルにおいて,ベースのリン負荷が急性腎障害発症時のダメージを重症化させることが示された。慢性腎臓病患者患者と同様に,急性腎障害のハイリスク患者でもリン負荷を軽減すべきかどうか,今後検討すべきと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のテーマの一つである「リン負荷が虚血再灌流による腎障害に及ぼす影響の検討」に関しては,上述の通り,ほぼすべての実験を完遂し,成果を示すことができた。 もう一つの「急性腎障害 回復期における骨病変,ミネラル代謝の長期的影響の検討」に関しては,両腎虚血再灌流障害後,4週間経過した時点でのサンプル収集まで完遂している。
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Strategy for Future Research Activity |
「リン負荷が虚血再灌流による腎障害に及ぼす影響の検討」に関しては,ほぼ実験が完了しており,年度内の論文化を目指す。 「急性腎障害 回復期における骨病変,ミネラル代謝の長期的影響の検討」に関しては,4週間時点でのサンプルを用いて,骨形態計測を中心に解析を進めて行く予定である。
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