2021 Fiscal Year Research-status Report
Acute kidney injury-induced mineral and bone disorder: concept and characterization
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20K08618
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
駒場 大峰 東海大学, 医学部, 准教授 (60437481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 骨ミネラル代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病は二次性副甲状腺機能亢進症を背景とする高回転型骨病変に代表される骨代謝異常をきたすことが知られているが,急性腎障害が骨代謝に及ぼす影響は明らかではない。 そこで2021年度の検討課題として,われわれは6週齢雄SDラットにおいて急性腎障害が骨代謝に及ぼす影響を検討した。35分間の両側腎動脈虚血再灌流障害(IRI)を誘導またはsham手術を行い,経時的な骨ミネラル代謝の変化を観察した。両側IRI群では,sham群と比較し,手術翌日に著明なBUN上昇を示すとともに,血清リン値,PTH値,FGF23値の著しい上昇,1,25(OH)2D値の低下を認めた。これらの変化は,術後2~3日目において改善傾向を示した。両側IRIの3日後に骨形態計測を行うと,IRI群で類骨量,類骨面,類骨幅,骨芽細胞面の著明な上昇を認めた。石灰化骨量や浸食石灰化骨面,石灰化骨線あたりの破骨細胞数についてはsham群と同等であった。両側IRIの3日後以降,腎機能の回復に伴ってミネラル代謝の変化は徐々に改善し,IRIの4週後にはほぼ正常化した。この時点での骨形態計測パラメーターは,両側IRI群とsham群で同等であった。 以上の結果より,ラットIRIモデルにおいて,著しい類骨形成促進を特徴とする急激な骨形態の変化が出現することが明らかとなった。しかしその変化は一時的であり,石灰化骨の増加には至らなかった。一過性の類骨形成促進の要因は現時点で明らかではないが,PTHの著しい上昇を伴うことからPTHの骨形成刺激作用が関与している可能性が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の「リン負荷が虚血再灌流による腎障害に及ぼす影響の検討」に続き,2021年度においても「急性腎障害 回復期における骨病変,ミネラル代謝の長期的影響の検討」に関して予定していた研究計画の大部分を完遂し,成果を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,急性腎障害の骨代謝の変化に関してPTHとは独立した影響を検討するため,副甲状腺摘出術(電気メスによる副甲状腺焼灼)後にIRIを誘導し,3日後時点でのサンプルを用いて骨形態計測を中心に解析を進めて行く予定である。
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