2022 Fiscal Year Annual Research Report
Usefulness of Basigin as a novel therapeutic target for diabetic kidney and liver diseases
Project/Area Number |
20K08632
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90584681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 佳哉輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00836306)
佐藤 由香 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60846864)
加藤 規利 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90716052)
門松 健治 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80204519)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ベイシジン / 乳酸 / ピルビン酸 / ミトコンドリア / TCA回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
Basigin(Bsg)は細胞エネルギー恒常性の維持に不可欠である乳酸やピルビン酸の細胞内輸送を促進する。しかし、基質の過剰な細胞内取り込みは臓器障害の原因となる。研究代表者らは、Bsgの欠損によるピルビン酸や乳酸のTCA回路への取り込み抑制は、脂肪酸ベータ酸化を伴いケトン合成を促進し、高脂肪食負荷時には、Bsgの欠損は肝臓や腎臓の障害抑制、耐糖能異常やインスリン抵抗性の改善を呈した。 安定同位体13C3標識のピルビン酸と乳酸を用いて肝細胞初代培養細胞を培養、基質の細胞内取り込みとその利用効率に関し検証した。結果として、糖新生系のglucose-6-phosphateなどの物質はほとんど認めず、オキサロ酢酸など測定困難な中間代謝産物を除き、TCA回路内の中間代謝産物はBsg欠損により30%から70%程度の低下を示した。腎近位尿細管初代培養細胞を用いた同様の検証では、Bsg欠損は肝臓と同様の傾向を得た。 細胞を使用した予備実験において、Bsg発現を著明に減少させる効果的なsiRNAを設計し、高脂肪食負荷モデルマウスに対し、Bsg siRNAを頸静脈的に投与した。投与2ヶ月後、脂肪性肝疾患が抑制されるか否か、検証を繰り返した。Bsg siRNA投与により、一部の肝臓に関する血清学的指標に若干の改善を示す効果を認めるが、著明な効果を示すとは判断し難かった。 Nuclease活性が高く、RNAに対する親和性においても、従来の人工核酸より強固な人工核酸医薬の治療応用を検討したが、投与経路を再検討し、継続することとした。 一方、骨格筋においてBsg抑制はグルコース負荷時に細胞外への乳酸排泄を有意に促進する事を予想に反し示した事から治療実験に際し、他臓器からの乳酸供給や他のMCTs familyの発現に対する対応を検討する必要性が新たに示唆された。
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