2020 Fiscal Year Research-status Report
尿細管上皮のNaチャネル発現亢進を標的とした心腎連関に対する新規治療の確立
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20K08640
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
草場 哲郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60367365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 聖明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10305576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心腎連関 / うっ血性心不全 / 近位尿細管 / ナトリウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心不全モデルでの腎尿細管でのNaチャネルの発現解析を行い、特にNaPi2aの発現制御機構、および機能解析を行うことで、心腎連関の視点から新規新不全治療薬として同分子の機能抑制の臨床応用可能性を検討することを目的としている。 今年度の研究計画は、NaPi2aのノックアウトマウスに対して圧負荷心不全モデルを作成し、その心不全改善効果を検討することであり、計画通りに実験を行った。 非心不全状態で、NaPi2aノックアウトマウスでは血清リン値、FGF23値も低下した。また尿中リン排泄率、ナトリウム排泄率も上昇していた。 次に、同マウスに対して圧負荷心不全モデルを誘導し、その解析を行った。血清リン値、FGF23は野生型に比し低値であった。同マウスの圧負荷心不全誘導4週間後において、心エコーによる解析では、NaPi2a-KOマウスにおいて心収縮能は保たれ、拡張末期径の増加は抑制されていた。心組織では心重量/体重比の増加、組織での心筋肥大はNaPi2a-KOマウスにおいて抑制されていたが、心組織の線維化には差を認めなかった。遺伝子発現解析では、心不全マーカーである、Nppa、Nppb、Myh7の発現上昇は、NaPi2a-KOマウスで有意に抑制されていた。一方、これら心不全マウスにおいて、腎組織の変化、遺伝子発現、特にNaチャネルの発現の変化は認めなかった。 これらのことから、NaPi2aの遺伝的抑制は、圧負荷心不全モデルの心機能を保持する効果が示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに心不全改善効果を期待できる近位尿細管Naチャネルの一つとしてNaPi2aを同定し、そのノックアウトマウスにより圧負荷心不全モデルの改善効果を証明できている。 現在はNaPi2a阻害薬を用いた実験を行っているが、概ね当初の仮説通りの結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、概ね順調に研究は進捗しており、NaPi2aの阻害薬を用いた実験を行っている。今後はFGF23の抑制効果なのか、Na排泄亢進による体液量減少効果のどちらが心不全の改善効果に寄与しているのか、低リン食を食べさせて検討する予定である。
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Research Products
(6 results)