2020 Fiscal Year Research-status Report
自己炎症性角化症におけるプレシジョンメディシンの開発
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20K08648
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武市 拓也 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (30754931)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 角化異常症 / 自己炎症 / 遺伝性皮膚疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自己炎症性角化症 (autoinflammatory keratinization diseases: AiKD) の包括的病態解明を目指し、各々の患者に適したプレシジョンメディシン開発に直結する基礎的データを得ることである。2020年度の目標は、病因遺伝子が明らかにされていないGPPとPRP症例において、全エクソームシークエンス法で新規病因遺伝子を同定することであった。 まず、表現型がはっきりしている症例、劣性遺伝が推測しやすい家系、血縁者のDNAを多く収集できた家系を10家系選び、患者のDNAを用いて、全エクソームシークエンス法を行い、新規病因遺伝子候補を絞った。得られた遺伝子について、どのようにAiKDの病態に寄与しているか、RNAシークエンス法等を用いて解析した。変異が見つかった患者のRNAサンプルと、健常人コントロールのRNAサンプルを用いて、RNAシークエンス・発現差解析法を使い、網羅的にmRNAを分析した。さらに、皮膚組織を使った免疫組織化学も施行した。 上記研究の成果として、アトピー性皮膚炎様の皮疹を有するCARD14-associated papulosquamous eruption (CAPE)の症例、水疱性類天疱瘡を合併したMVD遺伝子変異を有する汗孔角化症等を報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AiKDの新規病因遺伝子候補をいくつか同定している。現在、その候補遺伝子と相同性の高い変異を有するモデルマウス作成の準備にも取りかかれており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、研究計画に基づき、まず、同定された新規病因遺伝子と、既存の遺伝子変異を持つ患者の表現型を比較して、その相違点を包括的に分析する。 次に、それらのAiKD患者について、使用されている薬剤を調べ、薬効について検討する。 それと同時にAiKDモデルマウスならびにモデル細胞を用いて、in vivoでの各種薬剤の効果と副作用の発現を検証していく。
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Causes of Carryover |
申請時の研究計画通り進めたが、幸運も重なり、当初の計画よりも効率よく症例の集積と遺伝学的解析の結果を得ることに成功したため、予定した解析症例数よりも少ない解析数で成果をあげることができた。そのために次年度使用額が生じた。 次年度は、残りのAiKD症例についても遺伝学的解析を進めていくが、さらに解析症例数を集積し、増やした症例についての解析費用として使用する計画である。
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