2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel therapeutic agent for pachydermoperiostosis (PDP) using iPS cells derived from patients with PDP
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20K08649
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 尚史 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60346054)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥厚性皮膚骨膜症 / プロスタグランディン / iPS細胞 / 遺伝子異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
SLCO2A1はprostaglandin (PG) E2の輸送タンパクをコードする遺伝子であり、肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis, PDP)の原因遺伝子の一つである。PDPは、ばち指、骨膜性骨膜肥厚、皮膚肥厚を3主徴とする遺伝性疾患である。3主徴以外の臨床像は多様であり、遺伝子異常と表現型の関連は不明な点が多い。SLCO2A1変異を有する患者は日本人に多く、その多くは、慢性下痢症を示す。本研究はPDPの遺伝子型・表現型相関を解明し、SLCO2A1を標的とした創薬基礎研究を展開するこ とを目的とする。本研究では、PDP患者から人工多能性幹細胞(iPSC)作出の同意を取得し、2020年度内に、SLCO2A1にc.940+1G>A (p.R288Gfs*7)/c.1807C>T (p.R603*)のヘテロ複合接合を有する患者のiPSCを樹立した。また2021年度から、SLCO2A1遺伝子欠損マウスを入手し、頭部皮膚の肥厚、骨膜の肥厚、手指末節骨の肥厚や手掌エクリン汗腺の発達度を検討した。一部のマウスでは、正常マウスと比較して、頭部皮膚が厚いことを確認できた。しかし統計学的な有意差は認めなかった。PDPにおける皮膚肥厚は、10代後半に顕著になり、40代まで増悪し、その後は症状の進行は止まるとされる。今回観察したマウスは、生後半年程度のものであったため、皮膚肥厚をきたしていなかった可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
iPSCは多能性細胞であるため、SLCO2A1を発現する細胞に分化させる必要がある。現在、そのための培養条件を検討している段階である。SLCO2A1型PDPの副症状である慢性下痢症を考慮し、腸管上皮細胞への分化誘導を検討したが困難であった。 SLCO2A1欠損マウスについては、表現型がヒトと異なる可能性があり、モデル動物として適切かを再度検討する必要があると考える。マウスを飼育するには維持費がかかるため、2歳齢のマウスを観察することは、申請者の施設では困難だった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、共同研究等を通してiPSCの培養条件を設定する予定である。候補として、線維芽細胞、脂腺細胞、腸管上皮細胞への分化誘導を検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、発注、実験の遂行、学会参加が滞ったため。
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