2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel therapeutic agent for pachydermoperiostosis (PDP) using iPS cells derived from patients with PDP
Project/Area Number |
20K08649
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 尚史 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60346054)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥厚性皮膚骨膜症 / プロスタグランディン / iPS細胞 / SLCO2A1 / PGDH |
Outline of Annual Research Achievements |
肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis, PDP)は、ばち指、骨膜性骨膜肥厚、皮膚肥厚を3主徴とする遺伝性疾患である。プロスタグランディン(PG)E2分解酵素PGDHの欠損、または、PGE2輸送体SLOCO2Aの欠損が原因であり、体内PGE2の過剰状態が本疾患の病態とされる。 本症の根本治療は存在しない。関節痛や発熱等のPGE2過剰症による症状はCOX阻害薬が有効であり、皮膚肥厚に対しても有効である。しかし日本人患者に多いSLCO2A1欠損型では、非特異性多発性小腸潰瘍症(chronic enteropathy associated with SLCO2A1, CEAS)を合併するため、COX阻害薬を内服できない患者も多い。この研究は、上記の背景を踏まえ、SLCO2A1型PDPに焦点を当て、COX阻害薬以外の治療薬を探索することを目的とした。 2023年度はSLCO2A1を高発現する細胞集団を探索した。その結果皮膚組織では、血管内皮細胞の多くと少数の表皮基底細胞および線維芽細胞がSLCO2A1を発現することが明らかとなった。PDPの病態形成におけるこれらの細胞の役割は不明である(未発表)。したがってSLCO2A1を標的とした新規治療薬の探索には、血管内皮細胞に分化させたiPS細胞を用いることが望ましいと結論した。また、COX阻害薬以外の炎症抑制薬であるグルココルチコイドは、血中PGE2を減少させず、過剰なPGE2による発熱、全身倦怠感、関節痛に対する効果がほとんどないことがわかった(未発表)。 本研究は候補薬のスクリーニングは達成できなかった。しかし二種類の遺伝子変異患者の検体を採取できており、今後、iPS細胞の作成が可能な状態である。今後、患者由来iPS細胞を血管内皮細胞に分化させ、SLCO2A1産物の機能解析をすすめる予定である。
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