2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the human sweat gland organoids for the improvement of heat stroke
Project/Area Number |
20K08650
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉田 隆一郎 大阪大学, 薬学研究科, 招へい教員 (50773115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 汗腺 / 幹細胞 / 幹細胞ニッチ / オルガノイド / 熱中症 |
Outline of Annual Research Achievements |
温暖化と高齢化の進行によって熱中症患者が急増している日本では、発汗による体温調節機能の低下が問題となっている。この体温調節機能の改善に向けて、マウスの汗腺を用いた発汗機能の研究が行われてきた。しかし、発汗を利用した体温調節はヒト汗腺にしかない機能であるため、発汗障害の問題は未解決のままである。そこで、私たちは発汗機能を評価できるヒト汗腺モデル(ヒト汗腺オルガノイド)の作製を試みた。これまでに私たちは、1)ヒト汗腺細胞の単離法の確立、2)ヒト汗腺幹細胞の同定、3)ヒト汗腺幹細胞からの汗腺様構造体の作製を行ってきたが、生体外でヒト汗腺幹細胞を未分化の状態で維持することができず、汗腺幹細胞の幹細胞性を維持するための微小環境を解明する必要がある。ヒト汗腺幹細胞の微小環境の解明に向けて、ヒト汗腺とその周辺部位の特徴を理解することにした。汗腺周辺の組織学的解析を行ったところ、ヒト汗腺は膠原線維ではなく、脂肪組織に包まれた物理学的、生化学的に特殊な環境下で存在していることが確認された。そこで、ヒト皮膚組織から種々の酵素を用いて、ヒト汗腺器官とその周辺部位を単離する方法を確立し、これらの組織片を単一細胞へ消化した後にシングルセルRNA解析を行った。表皮細胞に特徴的なケラチンの発現パターンから表皮細胞と間充織細胞を分離し、さらに遺伝子発現パターンから細胞群をクラスタリングしたところ、線維芽細胞や血管内皮細胞など数種類の細胞集団に分類された。今後、各細胞集団から放出される増殖因子等を汗腺幹細胞に作用させた際に幹細胞の未分化性を維持するかを評価することで、ヒト汗腺幹細胞ニッチ候補を同定できると考えている。
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