2020 Fiscal Year Research-status Report
BNCT併用メラノーマ複合免疫療法へ向けた前臨床探索研究と新規ホウ素薬剤開発
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20K08652
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山崎 修 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90294462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メラノーマ / ホウ素中性子捕捉療法 / BNCT / ホウ素薬剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は①BNCTによる免疫誘導因子の探索を行い、メラノーマ複合免疫療法へ向けた前臨床データ収集に努める。特に、BNCT施行後のメラノーマ細胞より放出・分泌される免疫増強因子に関しての実験・効果の検証を世界に先駆けて行い、免疫チェックポイント阻害薬投与中のメラノーマ患者において免疫増強因子の再評価を行う。さらに、②メラノーマBNCTに合わせた新規ホウ素薬剤を作製し、新規ホウ素薬剤単独または従来ホウ素薬剤との併用により、メラノーマBNCTの治療効率を高めることに挑戦することを目的にしている。現在までに以下の実績を得た。
①新たなホウ素製剤の開発 BNCT の成否は、いかにしてホウ素薬剤を効率的かつ確実にがん細胞へ取り込ませるかという点が担っている。ペプチドにより構成されるナノ粒子と、従来のホウ素薬剤(BSH)を混合するだけで、容易に作成可能な世界初のホウ素薬剤を開発した。この薬剤は、BSHには無いがん組織への高い集積性と、がん細胞内部まで到達できる新しい機能を有しており、またBSH と比較して数十倍高い細胞内取り込みになることを確認した。今後ヒトメラノーマ細胞株を用いた取込実験を行い、同時にBPAとの併用取り込み作用を行う予定である。 ②『進行期メラノーマ患者における予後調査・解析』を観察研究の開始 本研究は進行期メラノーマに対する分子標的治療のプラニング・適正治療を行うためのバイオマーカー)を得ることを目指したものであり, その成果はメラノーマの個別化治療の発展に大きく寄与することが期待される。また、岡山大学メラノーマセンターにおける、BNCT治療などの新たな治療戦略構築にむけての重要な資料となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メラノーマ細胞株へのBNCTによる分泌因子 の検討(in vitro) メラノーマ細胞株(ヒト及びマウス)培養中にBPA を取り込ませた後、チューブへ細胞を移し、BNCTを行い、再度培養を行った。細胞生着後6時間、24時間後に 細胞上清液を回収し、2D-PAGE/MS (2次元電気泳動. 質量分析(MS)プロテオミクス解析)を施行し、候補となる免疫増強因子に関しては、ELISAにて定量評価する。さらに、同じ細胞株を用いてX線放射線照射後の免疫誘導 因子の比較検討を行った。このin vitro実験でBNCTによる免疫増強因子となる、興味深い結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
①メラノーママウスモデルへのBNCTによる免疫因子の検証と抗PD-1抗体治療 (in vivo) マウスメラノーマ細胞(B16)を右側へ移植後3週 間後にBPAを用いたBNCTを行う。その直後より左側へ メラノーマ細胞(B16)を移植し、翌日より抗PD-1抗 体を投与する。その後、腫瘍体積測定による複合免 疫効果を検討する。同時にin vitro実験で得られた血中の免疫誘導因子の検証を行う。このマウス実験によりBNCTによる免疫療法増強効果を確認し、BNCTのアブスコパル効果を検証する。 ② 新たなホウ素製剤によるヒトメラノーマ細胞株を用いた取込実験
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Causes of Carryover |
2020年度にメラノーマ細胞株へのBNCTによる分泌因子の検討(in vitro)とメラノーママウスモデルへのBNCTによる免疫因子の検証と抗PD-1抗体治療 (in vivo)による京都大学複合原子力科学研究所でのBNCT動物照射がコロナ感染症の多発地域への移動および出張の制限により1回しかできなかったため、費用を次年度に持ち越すこととして、2021年度は上記実験を4件ほど計画している。
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[Journal Article] Self-assembling A6K peptide nanotubes as a mercaptoundecahydrododecaborate (BSH) delivery system for boron neutron capture therapy (BNCT).2021
Author(s)
Michiue H, Kitamatsu M, Fukunaga A, Tsuboi N, Fujimura A, Matsushita H, Igawa K, Kasai T, Kondo N, Matsui H, Furuya S.
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Journal Title
J Control Release.
Volume: 330
Pages: 788-796.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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