2020 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎における痒みに関連するサイトカインIL-33の産生調節機構の解明
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20K08653
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 学 九州大学, 大学病院, 講師 (20423551)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 芳香族炭化水素受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
表皮細胞におけるIL-33産生は、アトピー性皮膚炎(atopid dermatitis:AD)の病態形成で重要な働きをする自然リンパ球2(Innate Lymphoid Cells 2: ILC2 )を活性化すること、神経細胞に発現するIL-33受容体を活性化することで強い痒みを生じることから、ADの治療ターゲットとして注目されている。IL-33は核内に発現するが、痒みによる掻き行動によって細胞が障害された場合には、活性化したIL-33が細胞外に分泌されると考えられている。OVOL1遺伝子改変を行った表皮細胞の網羅的解析では、OVOL1の発現が低下するとIL-33の発現が増加することが明らかとなった。OVOL1の発現が低下した表皮細胞をIL-4で刺激し、IL-33の発現を検討したところ、OVOL1の発現が低下した状態では、IL-4誘導性のIL-33の産生が著しく増強した。次に、グリテールやタピナロフといった芳香族炭化水素受容体(Aryl hydrocarbon receptor :AHR)活性化物質によってOVOL1の発現を増加させたところ、IL-4誘導性のIL-33の産生が抑制された。この現象はAHRまたはOVOL1の発現を低下させるとキャンセルされた。以上より、グリテール・タピナロフはAHR-OVOL1軸を活性化することで、ADの病態における表皮細胞のIL-33の産生を抑制し、これによってAD の免疫誘導・痒みを軽減する可能性が示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
表皮細胞においてIL-4によってIL-33が産生される機序を明確にし、査読のある英文雑誌に結果が掲載されたため(Tsuji G, Hashimoto-Hachiya A, Yen VH, Miake S, Takemura M, Mitamura Y, Ito T, Murata M, Furue M, Nakahara T. Aryl Hydrocarbon Receptor Activation Downregulates IL-33 Expression in Keratinocytes via Ovo-Like 1. J Clin Med. 2020 Mar 24;9(3):891. doi: 10.3390/jcm9030891. PMID: 32214018; PMCID: PMC7141508.)。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかとなった機序を活性化する化合物のスクリーニングを行い、ADの治療に効果的な薬剤となりうる候補物質を探索する。
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Research Products
(2 results)