2021 Fiscal Year Research-status Report
培養毛包iFollicleによる発毛メカニズムの解析とWntシグナルの意義
Project/Area Number |
20K08658
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50343421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発毛 / 幹細胞 / 未分化 / 移植 / 毛包 / 毛乳頭 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、毛の発生・制御を詳細に解析可能とする細胞ツール(未分化幹細胞)を樹立し、それを用いて毛の発生から移植毛までを精査・解析することを目標とする。 計画2年目の令和3年度は、初年度に取り組んだケラチン遺伝子プロモーター連動性plasmidの解析、作成作業をさらに進め、ある種のプロモーター上流域を含む遺伝子のモニター可能なplasmid(pK-DsRed)の構築に成功した。pK-DsRedを、毛乳頭細胞特異的にGFPを発現可能なTgマウスより単離した細胞(既に細胞株を樹立済み)に遺伝子導入し、double Tg reporter細胞株の樹立を進め、3つのクローンを作成した。現在、これらの分化能を遺伝子レベルで解析中である。 また、胚性幹細胞(ES細胞)を用いて毛包細胞への分化誘導の基礎的検討を実施し、毛包構成細胞を組織学的に認める条件を見出すことができた。今後は、上記樹立細胞株を用いて、毛包細胞・組織への分化誘導をモニターし、多角的に解析することで、毛の発生・制御のメカニズムの解明を行ってゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表等での成果報告を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画最終年度(令和4年度)では、発毛解析細胞ツール(double Tg reporter細胞株)を用いてin vitro細胞培養系での発毛メカニズムの解明を目指す。 具体的には、令和3年度までに得られている成績・材料をもとに、上記細胞株を用いて蛍光顕微鏡により上皮系細胞(赤色)や毛乳頭細胞(緑色)に分化した細胞を連続的に追跡し、発毛発生をリアルタイムでモニターすることで、分化状況や細胞動態を詳細に解析し、さらに、固定後の凍結切片を用いた組織学的解析により毛包組織の形成メカニズムを探る。さらに、誘導毛包組織の遺伝子発現変化をRNA-seqを用いて網羅的に解析することで、発毛における細胞内現象を解析し、発毛制御データの構築を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究計画の2年目(令和3年度)以降において、さらにRNA-seqなどを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行うため、受託研究費等の発生が予想された。消耗品(各種緩衝液やプラスチックチューブ等)や試薬等を購入する必要があったが、必要最小限の量を計画的に購入することで、繰越金を捻出し、来年度に備えた。 (使用計画)本年度は繰越金を合算して、RNA-seqなどを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行いつつ、これまでに購入している消耗品を継続して使用することや、実験に必要な物品を計画的に購入することで、研究を遂行する。
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