2023 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎発症ハイリスク乳児における新生児期からの角層内因子の解析
Project/Area Number |
20K08664
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
吉田 和恵 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 診療部長 (70383776)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ラマン分光計 / 天然保湿因子 / 角層 / 乳児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新生児期から共焦点ラマン分光計による角層内因子の解析を行い、乳児期の皮膚バリアの変化、アトピー性皮膚炎・アレルギー疾患の発症との相関を解析することで、アトピー性皮膚炎・アレルギー疾患の発症に関与する角層内因子を解明することを目的とする。新生児期から角層バリアの変化、アトピー性皮膚炎などの予後を予測する因子の発見、予防治療法の開発に向けて有用な知見を得ることが期待でき、社会的意義は大きい。当初、アレルギー疾患におけるハイリスク乳児の出生コホート研究の参加者を対象としていたが、新型コロナウィルス感染症流行などにより研究リクルートが困難となったこともあり、健常児もリクルートし、1歳時の測定期間を生後24ヶ月までに延長し、当初の計画の変更を余儀なくされ、測定期間も延長した。2023年3月までに新生児のリクルートを完了した。2023年度は、出生時(月齢0-7日)、1ヶ月(±14日)、2ヶ月(+1ヶ月)の時点で医師による診察、角層因子の測定(共焦点ラマン分光法、Corneometer、Tewameter)を行い、経時的な測定データが得られた39名の乳児を対象として解析を施行した。研究期間中、22/39人(56%)の乳児が乳児脂漏性皮膚炎を発症し、発症しなかった児と比較して、発症した児では帝王切開での出生が有意に低いことが明らかになった。また、角層内因子に関しては、出生時の角層表層のセラミド、コレステロールが、乳児脂漏性皮膚炎を発症しなかった児と比較し、乳児脂漏性皮膚炎を発症した児では低下傾向であることが明らかになった。乳児脂漏性皮膚炎と角層バリアとの関連が示唆する知見が得られた。乳児脂漏性皮膚炎の一部はアトピー性皮膚炎へと移行するが、その病態は不明な点も多いため、今後も検討を要すると考えられた。
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