2022 Fiscal Year Research-status Report
皮膚微小環境において極小マイクロバイオームが果たす役割の解明
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20K08669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 沙恵子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (70574408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一路 京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 皮膚マイクロバイオーム / 極小マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、これまで皮膚という臓器全体として解析されてきた皮膚マイクロバイオームを皮膚の微小構造物ごとに細分化し理解することである。すなわ ち、汗腺や脂腺、毛包といった皮膚付属器周辺の極小皮膚マイクロバイオームの詳細を明らかにし、さらにこの極小皮膚マイクロバイオームの炎症性皮膚疾患の 病態への関与について明らかにすることを目標としている。 昨年に引き続き、皮膚極小マイクロバイオーム解析を行うために、Laser capture microdissection (LCM)法を用い、ヒト皮膚サンプルより微小環境ごとの微生物DNA抽出を行なった。 具体的には、LCM法により手術余剰皮膚より作成した皮膚切片から表皮・真皮・毛包・汗腺・皮下組織などの微小組織の切り出しを行い、バクテリアDNA抽出を行なった。 1切片あたり抽出可能なバクテリアDNA量を算出した。 抽出したバクテリアDNAを用いて、分担研究者研究室にてDNA増幅の検討を行い、さらにライブラリ調整、16s rRNAシーケンスを行い、微生物叢解析を行なったところ、それぞれの微小構造に特徴的な細菌叢のデータを得ることに成功した。これまでの報告にあるように、真皮・皮下組織でも細菌DNAは検出された。また、毛包や脂腺・汗腺のデータも問題なく取得できた。全体を通じて細菌叢の多くを占めた菌種はCutibacterium属であり、こちらはこれまでの皮膚常在微生物叢解析で明らかにされている皮膚常在細菌叢に特徴的な菌種であることから、獲得したデータに大きな問題はないと考えている。現在、linear discriminant analysisを行い、それぞれの微小環境を特徴づけている細菌種の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備検討において本来微生物が検出されないはずの陰性コントロールからも一定量の細菌が検出されたため、実験系におけるコンタミネーションの可能性を検証する必要が生じた。この検証作業に予想外の時間がかかったため、その後の検証に進むまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、サンプル数を増やして健常コントロール皮膚を解析し、微小環境に特徴的な細菌種を同定する。また、同時に疾患サンプルの解析を行い、疾患の病態に関与する可能性のある微小環境における細菌種を同定する。
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Causes of Carryover |
本年度施行予定であった実験の一部が、予定外の遅れにより次年度に持ち越す必要が発生したため。具体的には、16sシーケンスライブラリ調整試薬および解析費用として使用する予定である。
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