2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K08671
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國吉 佳奈子 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (70747881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 清春 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (00752156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / 腫瘍免疫 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫系は、感染病原体等の異物排除および迅速な炎症反応の惹起を担い、さらにはその後に起こる獲得免疫系の誘導にも必須な役割を果たす生体防御機構である。自然免疫を担う細胞であるマクロファージと樹状細胞は高い貪食能を有しており、なかでもマクロファージはM1/M2という2つのサブタイプがあることがわかっている。申請者らは予備研究によって腫瘍増殖に抑制的なマクロファージが存在し、更に遺伝子Tag(Tumor-growth Associated Gene:未発表遺伝子のため仮名)が新規マクロファージの成熟化を制御することを突き止めた。いまだ不明な点が多い新規遺伝子Tagの生理的作用とTAGによる制御現象の解明を目的とした。癌特異的なマクロファージの存在を探るべく、マクロファージ内でIFN-γやIL-4刺激によって発現が変動する遺伝子欠損マウスを使用してスクリーニング検証を行った。この予備実験にて、これまで腫瘍とのかかわりが全く知られていなかった遺伝子Tagが抗腫瘍作用を有していることが示唆されため、本遺伝子が腫瘍増殖においてどのような役割を果たしているかを生命現象に近い状態で網羅的に解析し、包括的解明を目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの報告から腫瘍が形成され増殖する過程には宿主側の血管・リンパ管、繊維芽細胞、免疫細胞等との相互作用を含む腫瘍周辺環境(腫瘍微小環境)が大きく影響していることがわかっている。この腫瘍微小環境には腫瘍随伴マクロファージ(tumor associated macropahage: TAM)が多く浸潤しており、癌細胞の増殖促進や血管新生因子の放出、抗腫瘍免疫細胞の抑制等を行っている。TAMはM2型マクロファージで、実際に腫瘍組織へのTAMの浸潤度が腫瘍疾患の予後に大きく関与していることが報告されているが、本研究ではTAMとは異なる働きを有している新規マクロファージに関する研究である。 遺伝子Tagの生理的機能、腫瘍増殖における役割についての実験を進めた。Tag欠損マウスにおいて腫瘍増殖抑制が見られた。また増殖抑制作用を示す腫瘍種も明らかになった。また野生型と遺伝子Tag欠損マウスの腫瘍新生血管の比較を行ったところ、Tagが関与している新規マクロファージが腫瘍内へ浸潤し腫瘍内への血管新生に関与していることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
TAGは翻訳後に脂質修飾をするタンパク質であり、ターゲットとなる基質タンパク質の局在や動態制御に非常に重要な役割を果たしていることがわかっている。しかしながら基質となるタンパク質にどのようなものが含まれるかは明らかになっていないため、TAG発現ベクターを作製しin vitroにて免疫沈降後MASS解析によってTAGの基質の同定を行う。 また遺伝子Tag欠損マウスにて増殖する新規マクロファージの機能についての解析をおこなう。新規マクロファージはTag欠損マウスにおいて野生型と比較し、著しく増殖していることがわかっているので、このマクロファージの機能と役割を解明する。さらに、これまでの解析で明らかになった新規マクロファージによる血管新生に関する解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンが壊れたので、購入予定のため
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