2020 Fiscal Year Research-status Report
乾癬病変部表皮角化細胞産生EBI3含有サイトカインに関する研究
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20K08672
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森実 真 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80423333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 表皮角化細胞 / EBI3 |
Outline of Annual Research Achievements |
尋常性乾癬は表皮肥厚および好中球・T細胞浸潤を特徴とする慢性炎症性皮膚疾患である。病変部表皮角化細胞は過剰な細胞増殖と免疫応答を示し、病態形成に大きく関与する。2015年にRamnathらは表皮角化細胞における新規サイトカインであるp19とEBI3(EBV-induced gene 3)のヘテロダイマー“IL-39”の存在を報告した。一方で、EBI3を含むヘテロ二量体サイトカインとして他にIL-27(EBI3とp28)およびIL-35(EBI3とp35)が挙げられる。しかしながら、表皮角化細胞におけるこれらのEBI3含有サイトカインの蛋白発現に関する報告はまだない。 そこで、我々は乾癬病変部表皮角化細胞産生EBI3含有サイトカイン(IL-27、IL-35、IL-39)の蛋白発現の有無について検討した。 正常ヒト表皮角化細胞を種々のサイトカインで刺激(すべて50ng/ml)したところ、TNF-aとIL-17AによってIL23A(p19蛋白をコード)、TNF-aとIFN-gによってEBI3の発現が転写レベルで増強することを見出した。 また、既存のELISAキットを用いて培養上清中のIL-27、IL-35、IL-39の発現について検討したところ、種々のサイトカイン刺激下においてもいずれのサイトカインも検出することは出来なかった。 さらに、同細胞をリコンビナントIL-39(1~100ng/ml)で刺激し、分化マーカー、サイトカイン、ケモカインの発現を転写レベルで検討したところ、いずれの分子の発現も有意な変化をみとめなかった。同サイトカインが細胞増殖能に与える影響をMTT法で検討したが、有意な変化をみとめなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮角化細胞における、サイトカイン刺激下でのEBI3発現の変化を確認することが出来た。また、EBI3含有サイトカインIL-27、IL-35、IL-39の蛋白レベルでの発現は検出感度以下であることがわかった。 IL-39は表皮角化細胞の免疫応答、増殖、分化に影響を与えないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫沈降法+Ms/Ms解析を用いて、表皮角化細胞における未知のEBI3含有サイトカインの検出について解析を進める。 また、乾癬患者皮膚病変部、あるいは皮膚腫瘍手術標本断端のパラフィンブロック標本を用いて、EBI3、p19、p28、p40の発現を免疫染色法によって解析する。
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