2021 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期低量紫外線反復暴露のアトピー性皮膚炎発症への影響
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20K08674
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 真有子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (20423478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
青木 奈津子 高知大学, 医学部附属病院, 助教 (40457396)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 紫外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヘアレスマウス(HR-1マウス)にTNCBを反復塗布して作成したアトピー性皮膚炎モデルを用いて、乳幼児期の紫外線曝露が成長後のアトピー性皮膚炎発症に与える影響について検討することを目的とする。1群(n=10)は生後3日から3週間、週5回UVB30mJを照射。2群(n=7)は3週齢から3週間、週5回UVB30mJを照射した。3群(n=4)は非照射、4群(n=4)は照射もTNCB塗布もしない無処置とした。3群とも、9週齢から2,4,6-trinitrochlorobenzene(TNCB)を反復塗布して皮膚炎を誘導した。Day0に背部に1%TNCB100μlを塗布し、day7からday35まで1%TNCBを背部に隔日塗布し、day36に血清のサンプリングを行った。ELISAにて測定したIgE濃度は1群726±195.1ng/ml、2群602±50.6ng/ml、3群867.5±285.1ng/ml、4群770±235.2ng/mlであった。IL-4濃度は、ほとんどのサンプルで検出限界未満であったため再検したが、やはり検出限界未満であった。背部の皮膚から抽出したm-RNAのRT-qPCRにてIL-4、IL-5、IL-23、IL-17A、IFNg、TSLPを測定した。IL-4、IFNgは皮膚炎を誘導した1、2、3群で無処置の4群と比較して高い傾向があり、TNCB塗布によりアトピー性皮膚炎様の炎症が惹起されていると考えられた。IL-4は非照射の3群に比較して照射した1群、2群で低い傾向があり、UV照射による皮膚炎抑制効果がうかがわれたが、早期にUV照射した1群と遅れて照射した2群との間に差はなかった。IFNgは照射群と非照射群の間に差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではハプテンの反復塗布によるアトピー性皮膚炎モデルを用いている。臨床、病理組織学的にはアトピー性皮膚炎様の皮膚炎を誘導することはできたが、血清学的な変化は既報告と比較すると弱かった。使用するハプテンと塗布部位、塗布期間および頻度は様々な方法が試されているが、今回使用したヘアレスマウスを使用した報告は少なく、皮膚炎誘導とその評価に最適なハプテンの選択、塗布期間の検討が必要だが、コロナ禍の影響で予定通りに実験をすすめることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
TNCB反復塗布によるアトピー性皮膚炎モデルを用いて、臨床的に皮膚炎は惹起されたが、血中のサイトカイン上昇が明らかでなく、Th2優位の反応であるかどうか、皮膚組織中のサイトカイン遺伝子発現の検討も加えて評価する必要がある。上手くいかない場合はハプテンをDNFBに変更する。乳児期の紫外線曝露がアトピー性皮膚炎発症に抑制的に働くかどうかを検討することを本実験の目的としているが、生後3日から照射した群と生後3週から照射した群とで皮膚炎の程度に差はみられず、非照射群で皮膚炎が強い傾向を認めた。皮膚炎誘導に先だって行った紫外線照射により皮膚炎が抑制されていることが示唆され、照射の時期による違いはない可能性が考えられた。今後は匹数を増やしてさらに検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で実験が遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度には予定していたハプテンや塗布期間を変更した場合のデータを収集する。
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