2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K08677
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90316117)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、皮膚悪性腫瘍の病態に関与する分子および治療予測バイオマーカーの探索などの現状の研究成果と知見集積より、いまだ解明されていない悪性黒色腫の融合遺伝子の存在を模索する研究である。特に昨今、遺伝子変異をスクリーニングしたがんゲノム医療の進歩がなされているが、悪性黒色腫の患者のがん遺伝子は単一ではない。実際、実臨床でも数名の患者のゲノム診断を行ったが、検出された癌遺伝子は様々であった。本年度は、研究研究計画に従い、悪性黒色腫病変、そしてコントロールとして良性の母斑や他の悪性腫瘍の組織サンプルを用いてsanger sequenceにてSDHA-ALK、GOPC-ROS1、あるいはADCK4-NUMBL融合遺伝子の検出率を確認した。さらに、各サンプルで発現を確認できた融合遺伝子については、融合遺伝子を構成する遺伝子それぞれをラベルするプローブを用いたFISH法を用いることで、細胞内においても異なる遺伝子の融合を確認する予定である。また、悪性黒色腫における感度・特異度や臨床像との相関(とくに疾患の予後や、現在標準的治療法となっている免疫チェックポイント療法の奏功率など、免疫関連副作用発現率など)を検討すべく、臨床情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在検討中の症例に関しては、下記に列挙する。 (悪性腫瘍) 悪性黒色腫8症例、血管肉腫19症例、皮膚隆起性線維肉腫31症例 (良性腫瘍) 血管奇形12症例、その他5症例
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Strategy for Future Research Activity |
① 融合遺伝子の機能 とくに臨床像と相関する融合遺伝子に注目して機能解析を行う。具体的には、融合遺伝子を強発現した正常色素細胞の遺伝子発現プロフィールや増殖能・遊走能の変化を解析する。遺伝子発現プロフィールはRT2 Profiler PCR Array (Qiagen)、増殖能はBrdU法、そして遊走能はトランズウェル24ウェルインサート(Corning)を使用して評価する。また、融合遺伝子を構成する2つの遺伝子のそれぞれを個々に強発現することにより融合遺伝子の機能がさらに明らかになる。さらには、tumorigenicity assayとしてマウス色素細胞に融合遺伝子を導入したものをnudeマウス皮下に局注し腫瘍形成能を調べる。
② 融合遺伝子の阻害の抗腫瘍効果 融合遺伝子を有する悪性黒色腫培養細胞においてCRISPR/Cas9を用いた融合遺伝子knock downによる遺伝子発現プロフィールや増殖能・遊走能の変化を確認する。また、融合遺伝子を構成する2つの遺伝子のそれぞれを個々にsiRNAにて抑制することにより抗腫瘍効果のメカニズムがさらに明らかになる。腫瘍細胞を接種したマウスにおいて、siRNAやCRISPR/Cas9を投与して融合遺伝子を阻害することでの抗腫瘍効果をin vivoで調べる。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で研究計画に変更があり、旅費などが残存したため。今後感染拡大状況を注視しながら計画的に使用する。
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