2022 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性皮膚疾患患者における末梢血リポクオリティーの解析
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20K08682
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 英樹 日本大学, 医学部, 准教授 (10323544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葉山 惟大 日本大学, 医学部, 助教 (40647187)
岡山 吉道 日本大学, 医学部, 准教授 (80292605)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炎症性皮膚疾患 / 蕁麻疹 / アトピー性皮膚炎 / 脂質メディエーター / リピドミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度までに慢性蕁麻疹患者(CSU)67名および健常人(NC)27名から採取した末梢血中のリピドミクス解析を行った。CSUにおいてはUrticaria Control Test(UCT)と7-day Urticaria Activity Score(UAS7)を用いて重症度評価を行い、重症度と末梢血中の脂質メディエーター濃度の相関を検討した。CSU患者群およびNC群のアラキドン由来脂質メディエーターのリピドミクス解析を行った。アラキドン代謝物の中では、5-HETEとLTE4が、CSU患者群でNC群よりも有意に高値であった。一方、PGF2αとLXA4は、CSU患者群で有意に低値であった。EPA代謝物の中では、5-HEPEが CSU患者群でNC群よりも有意に高値であった。CSU患者群で有意に低値のものはみられなかった。DHA代謝物の中では、PD1とRvD2がCSU患者群でNC群よりも有意に高値であった。CSU患者群で有意に低値のものはみられなかった。次に、CSU患者血漿中で検出された脂質メディエーターについて、病態との関連を検討した。12-HETEはUAS7と有意な負の相関関係があり、UCTとも有意な正の相関関係があった。したがって、血漿中の12-HETEの濃度が低い程、蕁麻疹は重症であるということが明らかになった。また、12-HEPEはUCTと、LXA4はUAS7と、それぞれ有意な正の相関関係があり、12-HEPEの血漿中の濃度が低い程、LXA4の血漿中の濃度が高い程、蕁麻疹は重症であるということが示された。以上から、CSUでは、炎症性脂質メディエーターの上昇だけでなく抗炎症性脂質メディエーターの低下による炎症収束機能の異常が病態に関与していることが示された。また、12-HETEと12-HEPEはCSUの重症度を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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