2022 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性リンパ腫の包括的な病態解明による新規治療法の提案
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20K08683
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
宮垣 朝光 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (50582003)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント分子 / PD-1 / PD-L1 / VISTA / LAG-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞および周囲の間質細胞、免疫担当細胞上に発現している分子同士の相互作用ががん細胞の免疫回避に重要な役割を果たしており、近年免疫担当細胞の機能を抑制する作用を持った免疫チェックポイント分子に注目が集まっている。実際に、免疫チェックポイント分子同士の相互作用を阻害する抗体薬が、さまざまな癌腫で臨床応用されている。 本年度、我々は、皮膚T細胞リンパ腫において、PD-1、VISTA、LAG-3という3種類の免疫チェックポイント分子の発現について、臨床検体を用いた免疫染色法、細胞株を用いたフローサイトメトリー法にて検討した。その結果、皮膚T細胞リンパ腫の腫瘍細胞はPD-1を発現しているものの、VISTA、LAG-3の発現は確認されなかった。さらに、PD-1のリガンドであるPD-L1についても、その発現を検討したところ、腫瘍細胞上にPD-L1の発現が確認された。つまり、皮膚T細胞リンパ腫では、PD-1-PD-L1の相互作用が腫瘍細胞間で起こっており、腫瘍細胞に何らかの影響を与えていることが想定された。 また、細胞株を用いたフローサイトメトリー法では、細胞の培養密度や生存率がPD-1の発現率に影響を与えていることが分かり、PD-1は腫瘍の増殖に影響し、それを調整している可能性が示唆された。そこで、細胞株に抗PD-1抗体を加えて、培養したところ、通常の培養条件では、大きな影響が見られなかったが、栄養を除いた過酷な環境下では、抗PD-1抗体を加えることで、腫瘍細胞の生存率が上がることが明らかとなった。つまり、PD-1-PD-L1の相互作用は、腫瘍細胞の発育にブレーキをかけている可能性があり、抗PD-1抗体の投与は、腫瘍の増殖を促す可能性があることが示唆された。
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Research Products
(5 results)