2021 Fiscal Year Research-status Report
HIV感染における表皮・膣上皮resident memoryT細胞の役割
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20K08687
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小川 陽一 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20377542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 皮膚免疫 / HIV / resident memory T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト正常表皮には真皮と同様に、resident memory T細胞 (TRM)が存在することが明らかとなり、TRMはCD4陽性細胞とCD8陽性細胞に分類される。したがって、表皮CD4陽性TRMはHIVの初期感染標的細胞になりうる。TRMは2つのマーカー (CD69とCD103)で定義されるが、表皮CD4陽性TRMはCD69+でCD103+とCD103-の2分画に分類される。これまでの研究でCD103+分画とCD103-分画でHIV受容体発現に差異があることが明らかとなったが、HIV感染率については両分画に差異はなく両者ともHIVに感染する。次に両分画における内因性抗HIV分子の発現をflow cytometoryで検討した。APOBEC3GおよびTIRM5aは両分画で同様に高発現していた。Tetherinおよびリン酸化SAMHD1は両分画でほぼ発現が認められなかった。次に、HIVに感染させた両分画を培養し続け、両分画のHIV感染細胞の生存率をannexin V stainingを用いてflow cytometryで検討したところ、CD103-分画HIV感染CD4陽性TRMはCD103+分画HIV感染CD4陽性TRMと比較してアポトーシスに陥りにくいことが明らかとなった。これは、前者分画に感染したHIVは潜伏感染状態に入るためと仮説をたて、HIVの潜伏感染について検討を行った。HIV GKO (dual color reporter virus)を両分画に感染させ、productiveなHIV感染細胞とlatentなHIV感染細胞をflow cytometryで同定したところ、仮説のようにCD103-分画HIV感染CD4陽性TRMはD103+分画HIV感染CD4陽性TRMと比較してHIV感染後、潜伏感染状態に入る細胞が多いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は手術に際して同意の得られた患者の手術における余剰な破棄される予定の皮膚検体を使用している。2-3ヶ月、院内でCOVID-19感染が相次ぎ、予定手術の延期等の対応が取られたため研究に使用できる皮膚検体が減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究自体は順調に進んでいる。現在は院内COVID-19感染も収束したため予定通り研究を行なっていく。
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Causes of Carryover |
院内COVID-19感染が発生したためによる実験の減少により、次年度使用額が生じた。現在は収束しており、計画通り研究を推進できるため、翌年分として請求した助成金とともに問題なく使用できると考える。
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