2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of methods of prevention for anisakis allergy by reducing allergenicity
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20K08694
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
猪又 直子 昭和大学, 医学部, 教授 (20347313)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アニサキス / アレルゲン / 低アレルゲン化 / アレルギー / アナフィラキシー / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アニサキスを安定的に採取することに成功し、順調に研究を進めることできた。主な研究成果は以下の通りである。 ①アニサキスの経時的な生存率の追跡:太平洋側沿岸で漁獲され、冷蔵保存されたマサバからアニサキス第3期幼虫をブラックライト照射下で採取し、アニサキス虫体の形態を顕微鏡で確認した。その後、保管期間による生存状況の推移を観察した。飼育液中で4℃冷蔵保管したところ、3か月以上生存することが判明した。飼育液の温度が約18℃に上昇すると活動を開始し、温度の変化で活動性に変化がみられた。 ②アニサキス抗原抽出液の作成と解析:アニサキス虫体を溶液と混合し、ソニケーターにより攪拌し、遠心分離後、上清を採取し粗抗原液とした。抗原液を用い、ポリアクリルアミドゲルを利用した電気泳動したところ、分子量1~200kDa以上の幅広い範囲に多数のバンドを検出した。以後、本抽出液を粗抗原液として使用することとした。 ③加工処理後のアレルゲン性の解析:処理方法には、加熱、加圧、冷凍、酵素処理、浸水処理などがあり、低アレルゲン化には、変性、分解、除去による方法がある。昨年度から引き続き、変性による方法をとり、加熱と冷凍、さらに加圧を検討することとした。生きた虫体を採取し、②の方法により粗抗原液を作成し、加熱は20~140℃まで、加圧は常圧と加圧、冷凍は-20~-80℃まで加工処理を行った。現在、種々の加工処理を施した抗原液を抗原として、患者全血を用いた好塩基球活性化試験CD203c活性化解析を施行している。好塩基球活性化率を測定し、加工によるアレルゲン性の低下を解析している。ex vivoの好塩基球活性化試験による解析結果を踏まえ、その他の手法を用い、アレルゲン性の確認を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020、2021年度コロナ感染症の蔓延などにより、研究に必要な器具や物品の納入が遅延したり、研究実施の制限を受けるなどしたため、当初の計画より進行が遅れた。なお、2022年度は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020、2021年度はコロナ感染症の蔓延などの事由により、研究が遅延していたが、現在、研究は順調に進んでいる。今後は以下の実験を予定している。 ・アニサキス抗原に種々の加工処理を施し、アレルゲン性の解析を行う。 ・低アレルゲン化を目的に加工処理した抗原中の主要アレルゲンの定量化を実施する。 ・一般食品中の主要アレルゲン量の定量化を行う。 以上の結果を踏まえ、アニサキスアレルギー発症の予防法をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染状況の影響を受け、研究が遅延していた分、研究の進行に遅れが生じたため、次年度に研究を継続する必要性が生じた。 次年度は、種々の加工処理を施したアレルゲンを用いて、好塩基球活性化試験などのアレルギー検査を実施するため、関連する材料や試薬を購入する予定である。また、抗原定量を目的に、抗原特異的な抗血清の作成を行うため、動物免疫や抗血清精製、ウエスタンブロットなどに必要な器具や試薬の購入を行う予定でなる。
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Research Products
(7 results)