2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of methods of prevention for anisakis allergy by reducing allergenicity
Project/Area Number |
20K08694
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
猪又 直子 昭和大学, 医学部, 教授 (20347313)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アニサキスアレルギー / 食物アレルギー / アナフィラキシー / アレルゲン / 予防 / 蕁麻疹 |
Outline of Annual Research Achievements |
アニサキスアレルギーは、アニサキスが寄生した魚類を経口摂取することによって発症するI型アレルギーであり、アナフィラキシーショックに陥る重症例も存在する。しかしながら、どのように摂取を制限すべきか、という問いに答えるための知見はこれまで十分に得られていなかった。そこで、本研究では、アニサキスの低アレルゲン化について検討した。 方法として、サバ、アジ、イワシなどの魚類を購入し、ブラックライト照射下に魚の中に寄生するアニサキス虫体を採取した。食品の加工処理方法の中から、加熱、加圧、冷凍の3種を選択し、アニサキスアレルゲンの低減化を試みた。加工処理については、温度や時間などの複数の条件を設定し、アニサキス抽出液を作成した。 最終年度は、種々の加工処理を施したアレルゲン抽出液を用いて、皮膚試験(プリックテスト)を実施した。その結果、140℃以上の加熱ないし加圧により、アニサキスアレルゲンのアレルゲン性が低減化する傾向が示された。一方、冷凍処理(マイナス80℃まで、24時間)では低下する傾向はみられなかった。この傾向は、ex vivo実験である好塩基球活性化試験でも確認された。また、加工処理を行ったアニサキス抽出液中の、Ani s 1などの主要アレルゲンの半定量解析を行った。アレルゲンの抗血清を作成し、ウエスタンブロット法を用いて解析した結果、加工処理のレベルによりアレルゲン含有量に変化が生じることが明らかになった。 本研究成果によって、アニサキスアレルギーでは、加熱や加圧の処理によりアレルゲン性が低下すること、加工アレルゲンを用いた検査が個々の患者のアレルギー応答性の評価に応用できる可能性があることを示すことができた。今後は、さらにアニサキスアレルゲンの低減化法の確立を目指す予定である。
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