2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of the origin of intratumoral heterogeneity in squamous cell carcinoma by single-cell analysis
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20K08698
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐伯 秀久 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80235093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 真一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00244484)
平谷 伊智朗 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40583753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍内不均一性 / 有棘細胞がん / 微小環境 / RNA-Seq / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは従来、1つの細胞に由来する、クローナルな細胞集団と考えられてきたが、ゲノム異常の蓄積、微小環境の影響により、一つの腫瘍の中にゲノムの異なる、多数のサブクローンが存在することがわかり、この現象は腫瘍内不均一性と呼ばれる。腫瘍内不均一性は、がんが治療抵抗性を獲得し、再発・転移する分子基盤であると考えられるが、微小環境の影響を解析する方法は確立していない。 我々はマウスにできた有棘細胞がん(SCC)から樹立した細胞株を、遺伝的バックグランドが同じマウスに注射することにより (allograft モデル)、SCCを再現する系を独自に確立した。本研究はこの系を用いて、2次元の培養SCC細胞から3次元のSCC組織ができる時に、どのような遺伝子の発現の違いがみられるのかを、RNA-Seqの手法で比較することにより、がん微小環境によりSCC内に不均一性が生じるメカニズムを明らかにすることを目的とする。本研究の特徴は、RNA-Seq解析する際に、全長mRNAを合成できるだけでなく、ヒストンmRNA、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)、環状RNAなど、近年細胞分化や遺伝子発現の制御、疾患の発症に関与することが明らかになってきた、非ポリA型RNAを解析することができる、RamDA-seq法を用いることである。 本研究は当初、上述の解析をシングルセルレベルで行うことを目標としていたが、後述するように、時間的、技術的制約から、まず、培養SCC細胞(2次元)とそれをマウスに皮下注射してできたSCC組織(3次元)の遺伝子発現を、集団(バルク)として解析することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、シングルセルレベルで解析することにしていたが、がん組織を酵素などでシングルセルにした時点で、3次元構築に関わる遺伝子の発現がダウンレギュレーションする可能性があること、SCC組織は表皮細胞間の接着が強く、シングルセルにすることが困難であったことなどから、共同研究者と相談し、まずバルクで比較することにした。培養SCC細胞をマウスに皮下注射してできたSCC組織は既に採取してある。培養細胞、およびがん組織からRNAを抽出し、研究計画書に書いた通り、RNA-Seq解析は実績のある業者に受託した。解析結果はもうすぐ届く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
解析結果から2次元の培養細胞に比べ、3次元のがん組織で発現が増減する遺伝子を抽出する。また、本学で使用可能なIPA (Ingenuity Pathway Analysis) ソフトを用いて、生物学的な機能の解釈やネットワーク/パスウェイ解析を行う。解析の結果明らかになったパスウェイを構成する因子を抽出し、2次元、および3次元での発現を調べる。またRNAi法でその因子をコードする遺伝子の発現を抑制し、その機能を調べる。
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Causes of Carryover |
RNA-Seqの解析は外部に受注する予定だったので、受注費用のために支出をセーブしていた。令和4度初めには解析結果が届くので、未使用額はその費用に充当する予定である。
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