2021 Fiscal Year Research-status Report
Study for the regulation of exit from quiescent self-renewing programs in human hematopoietic stem cells by chromatin looping factor, CTCF
Project/Area Number |
20K08705
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高山 直也 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10584229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 基彦 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70506287)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ヒト造血幹細胞 / CTCF |
Outline of Annual Research Achievements |
①遺伝子Xノックアウト後のヒト臍帯血由来造血幹細胞の2次移植;1次移植後の骨髄細胞から、フローサイトメーターを用いて、ヒトCD45陽性細胞を分取し、75,000個、150,000個、600,000個/マウスで限界希釈法による2次移植実験を行ったところ、造血幹細胞の頻度がコントロールと比較し、有意に低下していることを確認した。また、ヒトCD45陽性細胞のキメリズムの低下を認めた。白血病化はみられず、リンパ球系/骨髄球系の分化指向性はコントロールと比較して、有意な差はみられなかった。現在、2次移植の2回目を行い、再現性を確認している。 ②ヒト成人骨髄由来造血幹・前駆細胞のトランスクリプトーム解析;臍帯血由来造血幹・前駆細胞における遺伝子Xの発現パターンが、発生段階の異なるヒト成人骨髄由来造血幹・前駆細胞においても維持されていることを確認するため、フローサイトメーターにより骨髄由来造血幹・前駆細胞を6種類の分化段階に分けて採取し、RNAシークエンスを行った。その結果、臍帯血由来造血幹・前駆細胞における遺伝子Xの発現パターンはほぼ同じであり、発生段階を通じて、同様の効果を保持していることが示唆された。以上よりCTCF下流の遺伝子Xは造血幹細胞に最も高く発現し、shRNA法で抑制することで、HSCの骨髄再構築能が徐々に低下することから、この因子が造血幹細胞制御因子であることが示された。 ③白血病幹細胞、非幹細胞での遺伝子Xの発現解析;一方、興味深いことに、白血病幹細胞、前駆細胞に分けて解析した78例の白血病患者サンプルのRNAシークエンス解析のデータを再解析したところ(Ng SWK, Nature2016)、白血病幹細胞での特異的な上昇はみられず、正常造血幹細胞と白血病幹細胞で異なる役割を果たしている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次移植の結果、移植後16週の段階で明確なヒト血液細胞の生着能の低下はみられなかったが、骨髄内の造血幹細胞分画の有意な減少が観察されたため、2次移植をおこなった。1回目の2次移植の結果、遺伝子X抑制によりヒト血液細胞の生着低下が確認できており、仮説に合致した結果であった。再現性の確認のため、2回目の2次移植を行っているが、順調に解析が進んでいると考えられる。また、他の発生段階(成人骨髄)のRNAシークエンスの解析、及び既報の白血病幹細胞、非幹細胞のRNAシークエンスの解析を統合して考えると、遺伝子Xは正常白血病幹細胞の制御因子であるが、興味深いことに白血病幹細胞では幹細胞機能への寄与が少ないと予想され、正常と白血病の幹細胞の異なる幹細胞制御機構を示す結果となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
①引き続き再現性の確認のための、2回目の2次移植の解析をすすめていく。 ②CTCF-遺伝子Xの関連をより詳細に調べるため、CTCFと遺伝子Xをsh RNA法を用いて、double knockdownを行い、解析をすすめる。 ②本年度の解析で、CTCF-遺伝子Xによる幹細胞制御機構が、正常と白血病の幹細胞で異なる可能性が示唆されたため、正常造血幹細胞と並行して、白血病細胞株を用いて、遺伝子Xの関与の有無を明らかにしていく。
|